e日韓関係 立て直しへ重要な節目 対話急げ

  • 2017.04.05
  • 情勢/解説

公明新聞:2017年4月5日(水)付



東アジアをはじめ世界情勢が不透明さを増す中、日韓関係の立て直しを急がなければならない。

政府は4日、一時帰国させていた長嶺安政・駐韓大使らを帰任させた。韓国・釜山の日本総領事館前に、慰安婦問題を象徴する少女像が設置されたことへの対抗措置として1月に帰国させて以来、約3カ月ぶりとなる。

この間、韓国では朴槿恵氏が大統領の座を追われて逮捕された。来月9日には大統領選が行われる。駐韓大使らの一時帰国は少女像問題が発端だったが、その交渉相手となる韓国の政権が1カ月後に代わることになった。このタイミングでの帰任は妥当といえよう。

まずは、大統領選後を見据えた人脈づくりを急がなくてはなるまい。有力候補の陣営幹部、とりわけパイプが細いとされてきた野党系候補との対話の基盤をどう構築するかが大きな課題となる。

大統領選では、最大野党「共に民主党」の候補に決まった文在寅氏が支持率で独走している。注視すべきは、文氏をはじめ主な候補が、慰安婦問題の日韓合意破棄や再交渉を求める考えを明らかにしていることだ。

韓国の政権が代わるとはいえ、日韓合意は国と国との約束である。帰任した駐韓大使らは、日韓合意の意義を大統領選候補らに粘り強く説き、日韓関係の立て直しに全力を挙げなければならない。

ましてや北朝鮮の状況も予断を許さない。

駐韓大使らが一時帰国していた間に、北朝鮮は弾道ミサイルの発射実験を繰り返した。来週には、北朝鮮最高人民会議や故金日成主席の生誕105周年など国家的行事や記念日が続き、6度目の核実験に踏み切る可能性さえ指摘されている。

今週6、7日に行われる米中首脳会談でも北朝鮮問題は主要な議題となる見通しだが、日韓関係が良好でなければ、さまざまな対策も効果が薄れてしまう。両国間に溝があるようでは、北朝鮮に付け入る隙を与えてしまいかねない。

朴氏逮捕に前後する日韓関係の空白をどう埋め、立て直しに結び付けるか、重要な節目を迎えている。

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