eコラム「北斗七星」

  • 2017.03.31
  • 情勢/社会

公明新聞:2017年3月31日(金)付



社長の物忘れが激しい。まな娘の名前を思い出せない時がある。その状況は周囲の知るところとなり、権利書などを狙う部下と、必死になって守ろうとする社長夫人が今、攻防戦を展開中だ◆本紙連載小説『修羅の都』を現代風に要約するとこうなるだろうか。鎌倉幕府を開いた源頼朝も、権力闘争に人生のエネルギーを燃焼しきったようだ。50年余で没した頼朝の晩年は認知症に病み、女房の政子は介助者として、また権力闘争に巻き込まれた女として描かれている◆ところで日本人の高齢化とクルマ社会の進行で、すでに75歳以上の運転免許人口は500万人を超えている。3月12日から75歳以上のドライバーを対象に認知症対策を強化した改正道路交通法が施行され、75歳以上のドライバーは3年に1度の免許更新時に、判断力などをチェックする認知機能検査が義務付けられた◆信号無視や逆走などの違反行為を犯した時も、臨時で検査を受けることが義務付けられ、この時に認知症と判断された場合は、免許停止や取り消しになる◆今回の法改正は75歳以上だが、65歳から74歳までで1200万人を超えるドライバーがいる。2025年には認知症の人の数が全国で700万人を超え、65歳以上の5人に1人の割合になるという。クルマ社会の危うさが見えてきた。(流)

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