e大災害に備え電子地図導入へ

  • 2017.03.08
  • 情勢/テクノロジー

公明新聞:2017年3月8日(水)付



人工衛星画像など活用
中部大学と協定 被災状況を視覚的に把握
素早い初動が可能に
名古屋市



南海トラフ巨大地震などに備え、名古屋市は昨年11月から、中部大学と協定を結び、被災状況などを1枚の電子地図上にまとめて表示できる「地理情報システム」(GIS)の導入に向けた研究・開発を進めている。GISは、JAXA(宇宙航空研究開発機構)が運用する陸域観測技術衛星「だいち2号」の衛星画像を活用するのが最大の特徴。人工衛星画像の活用による防災対策を推進した公明党の田辺雄一市議はこのほど、新妻秀規参院議員と共に市防災危機管理局危機対策室を訪ね、担当者から話を聞いた。

今回の協定は、中部大学が名古屋市の要望を基に新しい防災情報システムづくりをめざす一方、同市は大災害の際に素早く被害情報を入手して避難勧告の判断などに活用することを目的としている。

GISを導入すれば、災害時に情報を一元化し、リアルタイムかつ視覚的に把握することで、迅速な初期対応や市民への情報発信が可能になる。具体的には災害時に、市役所内の災害対策本部で、昼夜を問わず土砂崩れの跡などが確認できる衛星画像、ドローン(小型無人機)による空撮映像、市民からの通報などの情報を集約し、各地の被災状況を地図画面上に反映させる。これにより、市内のどこで、どのような状況が発生しているかを視覚的に把握して、被害の大きい場所へ人や物資を優先して効果的に配分できる。

危機対策室の半田修広室長は「現状、市職員が災害時における人的・建物被害などの現地確認を行うため、各地で発生する被害情報の収集・共有に時間を要する。このシステムがあれば災害対策本部が積極的に情報を入手し素早い初動に移ることができる」と説明。その上で「市、大学が協働してGISを活用した災害対応へのシステム開発に取り組んでいるのは全国で初めて」と述べ、「2017年度中に、本格的にGIS導入の計画作りを進めていく」と意欲を示した。

新妻氏は「GISは、災害時に人命と財産を守る『新しいインフラ』とも呼ぶべきものだ。国民の安全・安心のためにも、支援を政府に求めていきたい」と述べた。田辺市議は「市のシステム開発を応援するとともに、国に対して新しいインフラ整備への支援を要望していきたい」と語った。


公明、研究を後押し

田辺市議は、新妻氏が15年5月の参院決算委員会において、災害時に情報収集衛星で撮影した画像を活用することについて質問したことを受け、名古屋市での有効な活用方法について研究。その上で党市議団の政審会長として昨年9月に提出した17年度予算要望書に、「だいち2号」の衛星画像などを、災害状況の把握や被害想定の策定などに活用する提言を盛り込み、市側に要請した。

これに先立ち新妻氏も15年11月、JAXAの職員を招き、市職員らが人工衛星を活用した防災対策について学ぶ機会を設けるなど、今回の協定締結を後押ししてきた。

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