eコラム「北斗七星」

  • 2017.03.08
  • 情勢/社会

公明新聞:2017年3月8日(水)付



~オリンピックの顔と顔~。半世紀前、日本中を沸かせた「東京五輪音頭」。盆踊りの定番として今もなお人気だが、昨年10月に、故・三波春夫さんの歌声を再現したリメイク版が楽曲配信され、話題を呼んだ◆「本物そっくり」。往年の春夫ファンをうならせた歌声は、コンピューターによる「合成音声」という最新技術による。難しいとされた声のつなぎ目の不自然さや平坦な感じをクリア。喜怒哀楽も表現できるというから、驚く◆新技術は、元になる音のデータを数式に当てはめて統計処理する仕組み。一定時間の肉声が残っていれば、本人の肉声に近い声をよみがえらせることができるため、医療や福祉分野への応用も期待されている◆喉頭がんで声帯を摘出した人や、難病のALS(筋萎縮性側索硬化症)などで発声ができなくなった人は少なくない。患者が入力した文章を読み上げる支援機器は本人の声と懸け離れている。これが自分の声で、しかも感情豊かに表現できれば、会話もより楽しめるだろう◆新技術に悪用はつきものだが、声がそっくりであればあるほど、オレオレ詐欺や「なりすまし」に使われないか心配だ。本人の肉声と合成音声とを区別するセキュリティー技術の開発も進んでいるというが、悪用対策とセットで画期的な技術を進化、普及させていきたい。(辰)

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