e参院予算委員会での公明党の質疑(要旨)

  • 2017.03.02
  • 情勢/社会

公明新聞:2017年3月2日(木)付



1日の参院予算委員会で、公明党の魚住裕一郎参院会長、伊藤孝江さんが行った質疑(要旨)は次の通り。


魚住裕一郎参院会長


経済の好循環


経済連携、成長につなげ パリ協定 環境先進国としてリード


魚住裕一郎氏 安倍内閣になって、就業者数は170万人増、賃上げ率は3年連続で2%を超えている。成長と分配を好循環させていくことが一番大事だと思うが、アベノミクス推進への決意を聞く。


安倍晋三首相 私たちが進めてきた経済政策の結果、4年間で名目GDP(国内総生産)は47兆円増になり、9.5%も経済成長することができた。賃上げにおいても中小企業を含めて、今世紀に入って最も高い水準で続いている。税収も自公政権発足前より国と地方合わせて22兆円増えた。この経済政策の果実によって、希望出生率1.8の実現や、介護離職ゼロのために投資し、社会基盤の安心が生まれてくる。経済の好循環を回し、安心して暮らせる日本をつくっていきたい。


魚住 1月23日、トランプ米国大統領が環太平洋連携協定(TPP)の離脱の大統領令に署名し、発効が見通せない状況になった。わが国の経済成長につなげていくために、欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)や、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)などをどのように進めていくのか。


首相 日本はTPPの求心力を生かしながら、米国以外の各国と議論していく。TPPで結実した新たなルールは今後の通商交渉におけるモデルになり、21世紀のスタンダードにしていきたい。この成果を基礎として、RCEPなどの交渉において、質の高い協定をめざし、自由貿易の推進に全力を尽くしていく。


魚住 昨年11月、地球温暖化対策の新たな国際枠組み「パリ協定」が発効された。国内のCO2(二酸化炭素)大幅削減とともに、環境先進国として、大幅削減を実現しつつ、世界全体の削減にも貢献すべき。


首相 省エネルギーの徹底、再生可能エネルギーの最大限の導入などを通じてしっかり取り組んでいきたい。


法務・司法行政


司法修習生に「給付金」 性犯罪被害者らの支援充実へ


魚住 2017年度予算案に「修習給付金」が11.5億円計上された。11年に廃止された「給費制」の事実上の復活だ。司法修習生には一律、月額13万5000円が給付される。法曹志望者は激減しており、評価する。


金田勝年法相 法務省は、17年度以降に採用予定の司法修習生に対し、「修習給付金」を支給する制度の創設などを盛り込んだ裁判所法改正案を、今国会に提出した。また、現在、実施されている貸与制は貸与額を見直し、新たな給付制度と併存させる。


魚住
昨年12月、自民、公明両党の与党「性犯罪・性暴力被害者の支援体制充実に関するプロジェクトチーム」が、10項目の提言を政府に申し入れた。


加藤勝信男女共同参画担当相 被害者に対して心身の負担を軽減するため、被害直後から相談を受け、医療、心理面など可能な限りの支援を1カ所で提供することが重要だ。

政府として、第4次男女共同参画基本計画で、20年までに、被害者のためのワンストップ支援センターの設置数を各都道府県に最低1カ所とする成果目標を定めた。現在は36都道府県にとどまっている。与党の提言を踏まえ、17年度予算案に初めて、都道府県を財政支援する交付金を盛り込んだ。


魚住 昨年12月、改正ストーカー規制法が成立した。SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)での執拗な書き込みが規制対象に追加されたりした。安全対策は初動が大事だが、警察の取り組みは。


松本純国家公安委員長 全国の都道府県警察の本部で、ストーカー事案に一元的に対処する体制を確立し、警察本部が全ての事案に確実に関与するとともに、関係する都道府県警察が連携して対応している。


外交


合意形成に尽力を 核兵器禁止条約 交渉会議の役割重要


魚住 国連の核兵器禁止条約交渉会議における日本の対応について、唯一の被爆国として、着実な核兵器の削減、軍縮会議に向けた具体的な行為を積み重ねていくことが重要ではないか。核保有国と非保有国の間に入り触媒として合意をつくり上げていくということだ。基本的にどういう姿勢で臨むのか。


岸田文雄外相 わが国の核軍縮・不拡散に対する基本的な立場は、核兵器の非人道性に対する正確な認識と、厳しい安全保障に関する冷静な認識という二つの認識を基に、核兵器国と非核兵器国の協力を得て、現実的、実践的な取り組みを進めていくことで一貫している。これをしっかり主張していき、核兵器禁止条約交渉については、今後、政府全体として対応を決定する。


魚住 3月末の交渉会議は前文から始まり、中身が詰まっていくようなので、しっかり対応してほしい。


天下り問題


再発防止へ抜本的強化が不可欠


魚住 文部科学省の天下り問題に関する中間報告からは、天下り規制に対する抜け道づくりなどの実態が浮かび上がってきた。


松野博一文部科学相 3月末の最終報告に向け、徹底調査で全容解明し、厳正な処分とともに、再発防止策を着実に実行していく。


魚住 全省庁対象の調査に加え、今回、機能した内閣府の再就職等監視委員会を強化したり、国家公務員の再就職を支援する官民人材交流センターをもっと活用するなど、抜本的な取り組みが必要だ。


首相 今回の調査結果などを踏まえながら、山本幸三国家公務員制度担当相の下で検討する。


復旧・復興


災害時に混雑する港湾の管理が必要


魚住 大規模災害時に救援物資などを運ぶ支援船で港が混雑する。港を管理し交通整理が必要だ。


石井啓一国土交通相(公明党) 熊本地震の際、熊本港などでは貨物船などの利用に加え、自衛隊の輸送船など支援船舶の利用が集中し、港湾が混雑した。国交省は熊本県の要請を受け、自衛隊や海上保安庁と岸壁の利用調整を行った。

今後想定される南海トラフ地震などにおいて、非常災害時に港湾管理者の要請に基づき、国が港湾を管理する新しい制度を創設するため、今国会に港湾法改正案を提出する予定だ。


私立高校無償化


東京都が教育費軽減へ意欲的な施策


魚住 東京都は17年度から、都内に住む私立高校生の授業料について、世帯年収約760万円未満の家庭を対象に特別奨学金を上乗せする。これにより、国の就学支援金と合わせて、約5万1000人の授業料が実質無償化される。都議会公明党が要請し、実現するものだ。都の取り組みをどう評価するか。


松野文科相 国の支援に加え、地域の実情を踏まえた都道府県などの支援が一体となり、教育費負担を軽減することが重要。他の道府県の参考にもなる意欲的な取り組みだ。


伊藤孝江さん


防災分野の国際貢献


途上国に恩返しの支援 地域防災力向上も喫緊の課題


伊藤孝江さん 間もなく東日本大震災から6年、熊本地震から1年を迎える。世界では自然災害で亡くなる人が毎年2億人。このうち約9割が開発途上国に集中している。開発途上国では防災意識が全くないところも多い。日本が阪神・淡路大震災を含め多くの災害で世界中から受けてきた支援の恩返しとして、また、「誰も取り残さない」という国連のSDGs(持続可能な開発目標)の理念に照らしても、今後さらに防災分野で国際貢献を進めることを求めたい。


首相 災害から得られた知見や教訓、防災技術や防災体制などを世界と共有し、貢献していくことはわが国の責務だ。今後も防災分野の技術協力や人材育成など国際貢献に積極的に取り組んでいく。


伊藤 地域防災力を高めることは喫緊の課題だ。被災現場からの救出は、消防団や近隣住民によるものが多く、住民の声掛けが早期の避難につながる。地域防災力の重要性を示すものだ。消防団の高齢化といった課題への対応など地域防災力を高めるための取り組みを聞く。


高市早苗総務相 若者の消防団の加入促進へ引き続き取り組みを強める。


AED普及


すぐ使えば救命率高く、啓発が重要


伊藤 突然死を減らすためのAED(自動体外式除細動器)が使われた場合、使われなかった場合と比べて約2倍も救命率が高くなると有効性が認められている。心肺停止の人を目撃した人がいかに素早くAEDを使えるかが課題だ。使うことができる人の数値目標を定めるなど、具体的な取り組みを進めるべきだ。


塩崎恭久厚生労働相 普及啓発が重要だ。引き続き実施していく。


訪問看護師


暴力や暴言の実態調査実施せよ


伊藤 訪問看護師が利用者やその家族から受ける暴力や暴言の被害が深刻になっている。昨年、兵庫県で訪問看護ステーションを対象に調査したところ、約半数が暴力などを受けた経験があるという。複数での訪問が予防策の一つになるが、訪問看護ステーションでは人手不足で、安全対策まで手が回らない。安心で安全に働ける環境づくりは、訪問介護や薬剤師なども同じ課題だ。早急に実態調査し、具体的な取り組みを求めたい。


塩崎厚労相 暴力などの実態を調査し、対応を検討していきたい。


「民泊」法案


温泉地などの地域事情に配慮すべき


伊藤 民泊を制度化するために政府が今国会に提出予定の住宅宿泊事業法案について、民泊により経済や雇用などへの深刻な影響が予想される温泉地などの場合、保健所を設置する地域単位で規制強化できる仕組みだ。しかし、保健所の設置者になっていない小規模な自治体では独自に制限を決めることができず、経営が圧迫されるのではという不安の声も聞く。地域事情に寄り添った配慮をすべき。


石井国交相
都道府県が条例を制定する際、市町村の意向も十分反映させるよう省令の制定などを検討していく。

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