e受刑者に介護実務者研修

  • 2017.03.02
  • 情勢/社会

公明新聞:2017年3月2日(木)付



全国16の刑事施設 就労支援で再犯防止
17年度から 国家資格の取得に道筋



政府は2017年度から、受刑者の再犯防止策の一環として、全国16の刑事施設(刑務所など)で、介護福祉士の資格取得に不可欠な介護職員実務者研修を実施する。施設内での職業訓練内容を見直したもので、出所後の就労、社会復帰を支援するのが目的。公明党の提案を踏まえ、17年度予算案に施策が盛り込まれた。

国家資格である介護福祉士の取得は、17年1月実施の試験から、専門学校などを卒業しない場合、3年以上の実務経験に加え、450時間の実務者研修を修了することが必要。受刑者が施設内で実務者研修を修了すれば、出所後に3年以上の実務経験で介護福祉士の受験資格が得られる。

これまでも施設内では、職業訓練の一つとして、介護を行う際に必要な基礎的な知識と技術を学ぶ介護職員初任者研修を実施している。初任者研修の修了者は、出所後に在宅介護センターなどに就職した事例もある。

実務者研修の実施は、人手不足の分野など雇用の需要に応じ、職業訓練を拡充させたもの。実務者研修の修了者は、訪問介護事業者に配置が義務付けられる「サービス提供責任者」になることができるため、就労に有利となる。

受刑者の再犯防止に向け、施設内での介護研修の拡充に関しては、公明党の秋野公造参院議員が、12年4月に法務省の「特別矯正監」を務める俳優の杉良太郎氏と懇談し、出所後の社会復帰に向けた就労支援策として、要望を受けていた。

こうしたことも踏まえ、秋野氏が12年5月に提出した質問主意書で、介護を必要とする高齢受刑者の増加に対応するため、職員以外に受刑者による生活介助が行われている点に言及。初任者研修の職業訓練が実施されていることを踏まえ、より高度な介護に関する研修の環境を整えることで、就労支援と高齢受刑者への生活介助の質向上につながるとして、研修内容の拡充を求めていた。

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