e徘徊高齢者の保護へ工夫

  • 2017.02.23
  • 情勢/社会

公明新聞:2017年2月23日(木)付



認知症徘徊高齢者の早期発見・保護へ各地でさまざまな工夫が試みられている。ここでは埼玉県日高市と東京都日野市の取り組みを紹介する。


発見者が家族に情報 伝言板サイトで連携可能に


埼玉・日高市

認知症などで徘徊する高齢者らを早期に保護しようと、埼玉県日高市は1月から、発見者と保護者が直接やり取りできるウェブサービス「徘徊高齢者伝言板システム」を全国で初めて導入し、注目を集めている。

対象は、市内在住で徘徊行動が見られたり、認知症と診断されたりした人と、その保護者。市の長寿いきがい課窓口で申請すると、専用の伝言板サイトにアクセスできるQRコードと身元特定のための番号が表示された「見守りシール」が衣類用30枚と、靴やつえ用が10枚もらえる。

保護者は伝言板サイトの初期設定として、保護対象者の性別や年齢、外見の特徴、通知を受け取るメールアドレスなどを登録しておく。保護が必要になった際にアクセスし、行方が分からなくなった場所や発見時の注意事項を入力する。

発見者は、スマートフォンなどでQRコードを読み取ると伝言板が表示され、発見場所などを入力すると保護者にメールが自動送信。伝言板上で保護者と情報交換して、迅速な引き渡しにつなげる。

このシステムは、氏名や住所などの個人情報を知られることなく連携でき、プライバシーの保護に配慮。発見時などに通知が保護者や市にメールで届き、24時間365日稼働する。担当者は「身元の確認や、保護者との連携が素早く行える」と説明していた。

同システムの導入については、市議会公明党が強く推進。鈴木健夫議員が2013年9月定例会で、地域全体での見守りの必要性を主張し、池田和子議員も15年6月定例会で徘徊高齢者の早期保護の取り組みを要望していた。


本人の靴にシール 事前登録ナンバーで確認


東京・日野市

東京都の日野市議会公明党(馬場賢司幹事長)はこのほど、市役所内で認知症高齢者の見守り支援に関する取り組みについて市の担当者から話を聞いた。

市は、認知症で徘徊する高齢者の早期発見や事故を未然に防ぐ仕組みの一つとして、昨年11月から靴に貼るシールを対象者に配布している。対象は、市の「認知症徘徊高齢者SOSネットワーク」に登録している人で、希望者に1人10枚(5足分)配布。手渡されるシールには個人を特定するナンバーが記載され、名前や電話番号を書くことができるスペースもある。認知症高齢者は徘徊するときも靴を履いていることが多く、捜索依頼があった場合の迅速な個人特定に役立つと期待されている。

担当者は「シールは反射素材で作られているため、夜でも気付きやすく、ドライバーへの注意喚起にもつながる」と強調。馬場幹事長らは「引き続き周知に力を入れるとともに、高齢者に安心して生活してもらえるよう、支援に努めていく」と語っていた。

市議会公明党は、認知症高齢者対策について議会で何度も取り上げてきた。2016年度の予算要望でも、地域で見守り支える仕組みの一つとして、本人が身に着けることで徘徊時の早期発見につながる方策を求めていた。

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