e刑罰の見直し 受刑者の"教育"で再犯防止を

  • 2017.02.10
  • 情勢/解説

公明新聞:2017年2月10日(金)付



刑罰について抜本的な見直し論議が法制審議会(法相の諮問機関)で始まる。

刑務所で行われている社会復帰のための"教育"である矯正処遇をどう広げ、再犯防止につなげるかがテーマだ。

これは「刑罰の目的は犯罪者に対する応報か更生か」という刑事司法の根幹に関わる問題であるが、両方の視点を踏まえ国民の理解が得られる議論を期待したい。

現在、再犯防止の重要性が増している。検挙人員に占める再犯者の比率は近年上昇を続け、2015年は48%に上った。政府が12年に決定した再犯防止総合対策によると、犯罪者数の約30%が再犯で、事件の約60%を再犯者が起こしたという。犯罪者の更生をめざす刑事司法の意義が問われる事態といえよう。

再犯防止の柱の一つが刑務所での"教育"の充実である。しかし、懲役刑では刑務作業が刑法で義務付けられているため、それ以外の"教育"に十分な時間がとれない。

懲役刑の受刑者は1日8時間以内で木工、印刷、洋裁などの刑務作業に就く義務がある。また、本来は刑務作業の義務のない禁錮刑の受刑者も希望すれば作業ができることから、昨年3月現在で約83%が働いている。これでは"教育"の方法が限定される。

そこで、法務省の勉強会が昨年12月に公表した報告書は、懲役刑と禁錮刑を新たな刑に一本化し、受刑者に各種の矯正処遇を義務付けることを提起した。議論の方向性として評価できる。

矯正処遇には、刑務作業の他、改善指導、教科指導がある。改善指導は犯罪の責任を自覚させ、社会生活に必要な生活態度を習得させる。教科指導は基礎的な学力をつけさせることが目的だ。

これらの指導は、若年者、高齢者、障がい者など受刑者一人一人の資質と環境に応じた内容と方法で実施される。そのため、医学、心理学の知見に基づく処遇調査をし、その結果によって指導に入るため十分な時間が必要だ。その時間を確保するには懲役刑、禁錮刑そのものの見直しが迫られている。

刑罰の見直しは110年前の刑法制定以来となる。新時代の刑事司法にふさわしい刑罰を構想してほしい。

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