e格差を防ぐ 成長の果実、適切な分配をさらに

  • 2017.01.06
  • 情勢/解説

公明新聞:2017年1月6日(金)付



昨年行われた英国の欧州連合(EU)離脱を巡る国民投票や米大統領選では、社会に生じた深刻な亀裂が浮き彫りになった。その要因の一つとして指摘されているのが所得格差の拡大である。

グローバル化によって富める者はますます裕福になり、中低所得層の多くが取り残される。その結果、怒りの矛先が既存の政治へと向かったとの見方だ。グローバル化は止めようもないが、国民の声に真摯に耳を澄ますことの重要性を、あらためて痛感しないわけにはいかない。

日本でも格差や貧困の問題が国民生活に影を落としている。この現実に向き合い、解決に努めることは政治の重大な責務である。

グローバル化の下で格差の拡大を防ぐにはどうするか。労働者の賃上げと並んで、成長の果実を社会に適切に分配することである。この点で自公政権は着実に成果を挙げてきた。

例えば、厚生労働省が昨年発表した所得再分配調査では、所得格差を示す「ジニ係数」が過去最高を更新し、所得格差が最大となった。しかし、当初所得から税金や社会保険料を差し引き、年金などを加えた再分配後のジニ係数は低下し、再分配による改善度は過去最高を記録した。このことは、あまり知られていない。

わが国では、所得の再分配機能が格差拡大の防止に効果を発揮していると言えよう。

また、格差是正や貧困の連鎖解消をめざして公明党が推進した政策が数多く実現した。公的年金を受け取るために必要な保険料納付期間を25年から10年に短縮した無年金者救済法や、学ぶ意欲がある若者を支援する返済不要の給付型奨学金制度、配偶者控除の年収要件を150万円以下に拡大したことは、その一例だ。

国内外を問わず先行きが不透明な中で、政治に求められるのは目に見える形で果実を示すことである。保守中道の連立政権の一翼を担い、政治を前進させている公明党の役割は大きい。

「公明党が掲げる『大衆とともに』との理念が、米国と同じような状況をつくり出さないための最大の"処方箋"になる」(作家の佐藤優氏)との期待に、全力で応えていきたい。

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