e奨学金 "教育への投資"が前進

  • 2016.12.19
  • 生活/子育ての補助金・助成金
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公明新聞:2016年12月18日(日)付



生徒・学生に希望の未来を!
給付型 来年度から一部先行実施
月額2万~4万円に



「生徒・学生が学び続けられる希望の未来を!」――。公明党が約半世紀前に国会で提案した返済不要の「給付型奨学金」が具体化します。経済的に厳しい状況にある私立に通う下宿生らや、児童養護施設出身者など社会的養護を必要とする学生については、2017年度から一部先行して実施し、18年度から本格的に実施する予定です。今回は、来年度から利用できる奨学金制度の内容と拡充の歴史について紹介します。

文部科学省が16日、公明党給付型奨学金推進プロジェクトチームに示した制度設計案によると、「経済的理由により進学を断念せざるを得ない者の進学を後押し」し、「進学に向けた学生の努力を促す」制度にすると明記。

対象者は、住民税非課税世帯で、大学や短大、高等専門学校、専門学校に進学する学生。給付額は国公立、私立といった学校別、自宅や下宿など通学形態ごとに月額2万~4万円が給付されます【表参照】。

また、公明党が訴えてきた、児童養護施設出身者など社会的養護を必要とする学生に対し、入学金相当額を追加給付するとしています。受給決定方法は、学習成績や学校活動ですぐれた成果を収めた学生のうち、学校が推薦。推薦枠は各学校に最低1人が割り振られます。

給付の規模について、与党は1学年2万人規模とするよう申し入れています。政府は、与党の要望も踏まえ、制度設計を最終決定する方針です。

無利子奨学金についても、公明党の主張が実り、低所得世帯の学生を対象に、2017年度入学の大学・専門学校などへの進学者から、成績要件を実質的に撤廃することになりました。

これにより、新たに約2万人が無利子奨学金を受給すると見込まれています。

一方、卒業後の所得に応じて返還額を変える新たな「所得連動返還型奨学金」も17年度から開始。無利子奨学金を受ける大学、短大、大学院生などを対象に、月額2000円を最低返還額とし、所得に応じて返還額を決める仕組みです。

例えば、貸与額約260万円の私立学生の場合、年収300万円だと返還月額は、現行の1万4400円から8900円に下がります。


公明推進で段階的に拡充

奨学金拡充の歩みには、公明党の一貫したリードがありました。

大きな一歩は、1999年度から始まった第2種奨学金(きぼう21プラン、有利子)でした。これは、98年3月に公明党が提言した「新教育奨学金」を受けたものです。

従来の奨学金は一部の学生しか利用できませんでしたが、第2種奨学金は貸与基準を緩和し、貸与人員枠を拡大。希望者のほぼ全員が借りられるようになりました。

その後も公明党は、入学金用の奨学金を含め充実に尽力。98年度に約50万人だった貸与枠は、2016年度は約132万人に広がっています。

さらに、給付型奨学金について公明党は69年に国会で訴えるとともに、06年に「少子社会トータルプラン」であらためて導入を提唱。その後も、政府と粘り強く交渉を続けた結果、今年6月に閣議決定された「ニッポン1億総活躍プラン」に給付型の「創設」が明記されました。


高校の教育費の負担軽減めざす

公明党は高校進学時の経済的負担の軽減もめざしています。

全国でも先進的な政策を実現してきた都議会公明党は、私立高校に通い、保護者も都内に住む生徒に対し、国の就学支援金に加えて、世帯年収に応じて上乗せされる都独自の授業料軽減助成金を一貫して推進。その上で、都議会公明党は、都の助成金を増額し、私立高校の平均授業料分を実質無償化するよう提言しています。


"貧困の連鎖"絶つ契機
京都大学准教授 柴田悠氏

家庭の経済状況にかかわらず、全ての子どもたちに教育の機会を平等に与えることが、最も大切な観点です。

東京大学の小林雅之教授の推計では「経済的に困難で、給付型奨学金があれば大学に進学した」高卒者は、年間で約8000人に上ります。文部科学省の推計では、一人の学生を大学卒業させるのに必要な公的支援は約250万円かかりますが、それによって本人の生涯所得が増えることで、将来の税収なども600万円以上増えるとされます。その投資効果は学生一人当たり約2.4倍です。

国が子どもたちの将来に投資することは、本人の"貧困の連鎖"を絶つことにつながるとともに、国の財政再建も後押しすると言えます。

給付型奨学金の創設をはじめ、教育の充実に熱心な公明党の存在は大きいと思います。

都議会公明党がめざす、都の私立高校授業料の実質無償化なども含め、幅広い視点から、日本を救う子育て支援の充実に期待しています。

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