e養子縁組あっせん法案 適正な民間事業者の後押しを

  • 2016.12.02
  • 情勢/解説

公明新聞:2016年12月2日(金)付



予期せぬ妊娠などで実の親が育てられない子どもを血のつながりのない親が育てる「特別養子縁組」。6歳未満の子を実親とは異なる戸籍にして安定した家庭で育てる仕組みを強化する必要がある。

民間事業者が適切に養子縁組をあっせんできるようにするための法案(議員立法)が、参院本会議で全会一致で可決、衆院に送付された。これまで法的基盤が弱かった民間事業者の養子縁組を促進する画期的な法案である。今国会での成立を望みたい。

日本には、社会的養護を必要とする子どもは4万6000人以上いるが、約9割は乳児院や児童養護施設で暮らし、家庭養護は1割程度に過ぎない。特別養子縁組は増加傾向にあるものの、成立件数は年に500件程度。人口が日本の約半分の英国の10分の1だ。

欧米など世界が「施設から家庭」の流れにある中、なぜ日本で養子縁組制度が進まないのか。その要因として、児童相談所の養子縁組の相談・支援体制が十分でないことが指摘されている。

このため、民間のあっせん事業者の役割が増している。届け出をした全国22事業者を中心に縁組成立件数は5年で6倍に増えた。2012年の全成立件数339件のうち116件、実に3分の1は民間事業者によるものだ。

一方で、安易なあっせんによるトラブルも増え、社会問題化しつつある。適正な民間事業者の取り組みを後押しし、悪質な事業者を排除するため、法整備を急がねばならない。

法案は、民間のあっせん事業を届け出制から都道府県の許可制に見直し、許可事業者が健全な業務を行えるよう国や地方自治体による「財政上の措置等」を明記した。子どもの最善の利益のために活動する事業者を応援する内容で、時宜にかなうものだ。

公明党は策定段階から法案に関わってきた。11年前から縁組あっせんの法整備を訴え、野党時代に自民党と共に試案を提示。与党復帰後、自公案をまとめ、民進党など野党との合意形成もリードした。

養子縁組で最優先されるべきは子どもの幸福である。この大原則に則った縁組が広がることを期待したい。

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