e"畑の恵み"で地域おこし

  • 2016.11.25
  • 生活/生活情報

公明新聞:2016年11月25日(金)付



大根作り通し住民らが交流
子どもたちが収穫体験も
岩手・一関市



荒れ放題の農地がにぎわいの場に―。岩手県一関市に、休耕地を活用した大根作りを通し、地域の交流と生きがいづくりをめざしている市民グループ「畑沢やさい村」(伊藤幸家代表)がある。住民と行政が力を合わせ、"にぎわいの場"の創出へ挑む取り組みを紹介する。


休耕地を活用広がりに期待

「んーっ、なかなか抜けない」「でっかい大根だ!」。秋空の下、青々と広がる大根畑に子どもたちの声が響きわたる。

このほど行われた大根狩りには、一関市の新沼保育園の園児10人と市立新沼小学校の児童16人が参加。軍手をはめた小さな手で一生懸命に葉の根元をつかんで引っ張る。真っ白な大根が地面から現れると自然と笑みがこぼれた。「見て見て、こんなに太い大根が採れたよ」。同小学校の村上啓介君(1年生)はにっこり。引率してきた岩渕計副校長は「子どもたちにとって農業体験は新鮮。こうした機会はありがたい」と語っていた。

大根狩りを主催した「畑沢やさい村」は、同市藤沢町畑沢地区の住民有志7人が集まり、昨年4月に発足。行政と市民との協働による地域活性化を進める取り組みに市が助成する「いちのせき元気な地域づくり事業」として活動を展開している。

やさい村の特徴は、休耕地を活用していること。大根作りを通して高齢者や定年退職者、ひきこもりの若者が協力し合い、交流と生きがいの場を創出するのが狙いである。

このほか、地元の園児や小学生を招き、大根の生育過程や食べ方を学ぶ機会を提供したり、収穫した大根の一部は市内の介護施設や病院に届けている。

今年は8月末から9月上旬にかけて、15アールの農地に約4000本分の大根の種をまいた。大根狩りは、参加料が1袋1000円詰め放題で、3日間の開催予定だったが、初日で終了する大盛況。

住民の菅原武徳さんは「閑散としていた地域に大勢の人が来て元気づけられた。今後も続けてほしい」と話していた。


公明議員の訴え実り市の事業に

かつて、この地域は葉タバコの生産が盛んだった。しかし、喫煙人口の減少や後継者不足などにより、多くの葉タバコ畑が休耕地となっていた。

「畑が荒れ放題のままだと、この地域も寂れてしまう......」。2014年の秋口、年に1度、地元で開催される交流会で伊藤代表がこう漏らした。これには、公明党の岩渕優市議も参加していた。

岩渕市議は「住民の力を結集して地域を元気にしよう」と提案。「大根は収穫も楽しめてみんなに喜ばれる」との意見が出されると住民たちも賛同。野菜作りで"地域おこし"をめざす―との願いを込めて、「畑沢やさい村」と銘打たれた住民の挑戦が始まった。

早速、岩渕市議はやさい村の設立に向け、市産業経済課と連携。「地域コミュニティーの持続や農村景観の維持など地域づくりに貢献できる」と強く訴えた結果、昨年2月、市の「元気な地域づくり事業」計画に採択された。

同課の佐藤章子主査は、「やさい村の活動が、ほかの耕作放棄地や休耕地にも広がれば」と期待。岩渕市議も「地域間交流の促進に努めながら、ゆくゆくは農業・福祉・教育の連携をめざしたい」と決意していた。

伊藤代表は、「岩渕市議の働き掛けもあって村はにぎやか。来年もより多くの人を呼び込みたい」と意気込んでいた。

月別アーカイブ

iこのページの先頭へ