eコラム「北斗七星」

  • 2016.11.18
  • 情勢/社会

公明新聞:2016年11月18日(金)付



「人間のような高度な文明を持った生物は自滅する」。以前、英国の著名な物理学者・ホーキング博士が来日した折に残した言葉である。博士は原因として、環境の劣化と互いの攻撃性を挙げた◆何とも皮肉な物言いだが、月刊「公明」12月号で元外交官の佐藤秀雄氏が紹介している。同氏は悲観論だけでなく、未来につなげる可能性にも言及する。その一つが国民レベルの交流から外交を進める「パブリック・ディプロマシー」である◆世界情勢はこのところ不透明感が漂う。各国はいかに安定した外交関係を構築できるかが問われている。異なる国同士が互いに理解を深める意味からの有効なアプローチとして、民間交流は侮れないはずだ◆自覚しない間に、日本の国際化は進んでいる。観光庁は16日、今年の訪日外国人数が過去最高の2400万人程度に達する見通しを示した。公共交通機関に乗れば、外国語が飛び交う光景は当たり前。ネット社会の恩恵だろう、思わぬ場所が外国人フィーバーで沸くこともある◆訪日客はこの国に魅力を感じて来ている。買い物や観光一辺倒で帰られてはもったいない。普段着の付き合いから信頼関係は生まれるものだ。身近な所で彼らと肩肘張らない民間外交を積み重ねることができれば、"自滅"を回避する力になるかもしれない。(広)

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