eコラム「北斗七星」

  • 2016.11.17
  • 情勢/社会

公明新聞:2016年11月17日(木)付



次女が運転免許を取得したのを機に、18年ぶりに自家用車を買い替えた。軽自動車とはいえ、前方の車両との衝突を自動的に回避するブレーキシステムや、後方を運転席のモニターで確認できる装置など、最新の安全装備に目を見張った◆こうした装備は、高齢者が運転する車にこそ必要ではないか。高齢運転者の交通事故が増加する一方だからだ。最近も、80代のドライバーによる死亡事故が半月で3件続いた。加害者のうち1人は認知症が疑われている◆事故を減らそうと、バスやタクシーの割引特典などを付け、高齢者に免許を自主返納するよう促している自治体が増えている。運転免許センターに看護師らが常駐して相談に応じたところ、昨年の返納数が前年の1.4倍に増えたという熊本県の例もある◆ただ、自家用車を生活の足にしている人が免許を手放すことは暮らしへの影響が大きい。乗り合いタクシーを運行している地域もあるが限られている。自動運転車の開発が進むものの実用化は先の話だ。運転が生きがいという高齢者も少なくない◆75歳以上で自動車運転免許を持つ人は477万人、10年間に2倍以上増えた。2年後には530万人を超える見込みだ。解決すべき課題は多いが、「事故を起こしてからでは遅い」という点を忘れずに対策を考えたい。(幸)

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