eTPP衆院通過 日本の中長期的成長の基盤に

  • 2016.11.11
  • 情勢/解説

公明新聞:2016年11月11日(金)付



世界のGDP(国内総生産)の約4割、人口8億人の巨大な経済圏をつくる環太平洋連携協定(TPP)。その承認案と関連法案が、10日の衆院本会議で自民、公明の与党両党と日本維新の会の賛成多数で可決、参院に送付された。今国会での早期の承認・成立を期したい。

米大統領選でTPP離脱を表明するトランプ氏が当選したことは、関係国にとって大きな衝撃に違いないが、既に合意12カ国が国内手続きを進めることを約束している。

TPPは米国のオバマ政権が主導し合意に至らせた協定であり、トランプ氏の支持基盤、共和党も自由貿易を推進する立場である。米大統領選の結果を受けて公明党の山口那津男代表が「米国の責任感を期待したい」と語ったように、米国の国益にもかなうはずだ。米国の決断を促す上でも、日本は批准しておくべきである。

そもそもTPPは、日米やオーストラリアなど太平洋を囲む12カ国が、輸入品への関税の撤廃や引き下げだけでなく、知的財産権の保護など投資や企業進出に関するルールを幅広く定めたものだ。人口減少に直面する日本にとって、成長著しいアジア太平洋地域の需要を取り込むことは必要不可欠である。日本の中長期的な経済成長の基盤となろう。

今後、論戦の舞台は参院へ移るが、改めて指摘しておきたいのは、政府がTPPの重要性について国民の理解を深める努力を続ける、とりわけ日本にとってのメリットを丁寧に説明することである。

例えば、工業製品の99.9%の品目で関税が撤廃されるため、自動車など輸出は拡大への追い風となる。消費者にとっては、外国産農産物や輸入品の値下がりが期待できる。世界銀行の試算によると、TPPは日本に約13兆円ものGDP効果をもたらす。

国内の農林水産業への影響を指摘する声もあるが、この点、農水産物の関税撤廃の例外は多く確保されている。さらに政府は公明党の提言を踏まえ、TPPに関する政策大綱を策定し、生産者の経営の安定化などを積極的に推進している。国内対策にもしっかりと手を打ち、関係者に安心を与えていきたい。

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