eコラム「北斗七星」

  • 2016.11.08
  • 情勢/社会

公明新聞:2016年11月8日(火)付



文化施設の展覧会を巡っていると、興味深い作品に心惹かれ会場に足を踏み入れることがある。23年前、愛知芸術文化センターで美術団体が主催した展覧会を訪ねた折に、会場の入り口から彫像のような顔をクローズアップした絵画が見え、思わず場内に引き込まれた◆その絵の題は「生きる」。描かれた顔の凛としたまなざしが今なお脳裏に焼き付いている。同作品を入り口近くに展示したことで関心を集め、鑑賞した人から「生きる勇気をもらった」との感想も寄せられるなど、大きな反響があったという◆展覧会で作品の配置が来場者を誘う役割を担うのと同様に、新聞も見出しや写真、紙面のレイアウトが読者を引き寄せる要素に。金田一春彦氏は著書『ホンモノの日本語』(角川文庫)で「日本の新聞の紙面は芸術だと思う」と述べ、大切な記事は太く大きな字で書かれ、紙面に広告や挿絵があるなどの特徴を強調している◆それに比べ外国の新聞は、行の途中で言葉が切れていたり、最後の面に記事が1面から続くとあった点など紙面構成の問題点を指摘。その上で「日本人のきちんとまとめる才能は大したものだと敬服する」と記している◆こうした評価を励みとし、取材から記事作成、レイアウトに至るまで心を砕き、読みたくなる紙面作りに努力していきたい。(典)

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