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  • 2016.11.07
  • 情勢/社会

公明新聞:2016年11月5日(土)付



コーヒーで一息入れようと寄ったコンビニで、つい菓子コーナーへ足が向く。これが意外と迷うもので、毎年3000種の新商品が発売されているという◆菓子は16世紀、出島に砂糖が輸入されたのが起源だ。小倉に至る長崎街道(シュガーロード)にはカステラや羊羹、金平糖など多くの銘菓が誕生した。職人は人々に喜んでもらおうと腕を競うが、砂糖をけちると、たちまち「長崎の遠か」と評判を落とした◆そんな土地柄もあって、佐賀県はグリコ、森永の創業者を生んだ。江崎利一はおよそ100年前、カキの煮汁から栄養素のグリコーゲンを発見。国民の健康を願い、キャラメルに混ぜて売り出した。例の看板は佐賀駅前にもある◆同社の定番商品・ポッキーが発売50年を迎えた。開発時、持つ部分に銀紙を巻く案もあったというが、ながら食べしやすく、人にも勧めやすい形が良かった。「幸せを分け合う」というブランド価値を守り、世界で年間5億箱を売るヒット商品に◆同社の小林正典部長によると、陳列棚に並んだ菓子の中から消費者が選ぶ時間は、2秒。新商品が次々と姿を消す業界で生き残るのは、「千三つ」と言うそうだ(『まわりを巻き込む技術』ポプラ社)。どれだけ人々に喜んでもらえたかで評価が決まる政党に似ている。長崎は遠く、甘くない。(也)

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