e文化庁移転 京都からの報告(中)

  • 2016.10.03
  • エンターテイメント/情報

公明新聞:2016年10月3日(月)付



市民に広がる期待感
「未来思考」で次代を開く
関西広域連合、関経連と協定 公明も政策提案に力注ぐ



"京都に文化庁を"との思いは、地元関係者にとって長年の願望だった。

「文化まで東京一極集中ではだめだ」。行く先々で語っていた河合隼雄氏(故人)が2002年に文化庁長官に就任し、同庁の関西の拠点として京都国立博物館内に長官室分室を設置したことが、期待を膨らませる機縁となった。それだけに同庁の移転決定を受けた時の地元の喜びは大きく、対応も素早かった。

事実、京都府は文化庁移転準備室、京都市は同移転推進室を、決定から10日後の4月1日に発足させ、移転実務を担ってきた。

7月21日には、文化庁と関西広域連合、関西経済連合会の3者が集まり、関西が持つ優れた文化資源や地域資源を生かしつつ、文化庁の機能強化への貢献も盛り込んだ共同宣言の実現にこぎ着けた。

一方、市民の気運も盛り上がりを見せている。

同市によると、市職員による"出前講座"の窓口には、「文化庁移転をテーマに行ってほしい」との市民グループからの依頼が相次いでいるほか、伝統産業の経営者でつくるロータリークラブや、大学からも授業に来てほしいとの声が寄せられているという。文化庁移転をテーマにした市の連続講座やシンポジウムも好評で、定員を大幅に超える参加申し込みが殺到している。

こうした市民の関心の高さは、京都に息づく伝統と無縁ではない。明治政府による東京遷都で京都の人口が35万人から20万人に激減した際のこと。まちの衰退に危機感を持った住民の自治組織「番組」が資金を出し合い、国に先駆け学区ごとに小学校を設立したことがある。長く日本の中心だった京都には、時流を見据えた市民が新しい歴史を築いてきたという"誇り"が受け継がれているのだ。

毎年、斬新な切り口で政策提言を発表している京都市議会公明党(曽我修幹事長)は、専門家を招き、文化庁移転に関連する政策勉強会を重ねている。「文化を基軸にした国づくりに向け、京都にできることは何かを考え、来年早々には政策提言をまとめて市長に提案したい」と意気込む同幹事長。日本の次代を開く"未来思考"に期待がかかっている。

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