eアレルギー対策 適切な治療へ拠点病院整備を

  • 2016.09.28
  • 情勢/解説

公明新聞:2016年9月28日(水)付



花粉症や気管支ぜんそく、アトピー性皮膚炎、食物アレルギーなど、今や国民の約2人に1人が何らかのアレルギー疾患にかかっているといわれている。

国を挙げた取り組みが急がれる中、対策に関する基本指針の策定作業が、厚生労働省の有識者協議会を中心に年内の正式決定をめざして進んでいる。公明党の主導により成立した「アレルギー疾患対策基本法」(昨年12月施行)に基づくものだ。患者やその家族らの"笑顔"と"安心"につながるよう、議論を注視していきたい。

アレルギー疾患は、適切な治療を受ければある程度、症状をコントロールすることができるが、長期にわたり好転と悪化を繰り返すなど完治が難しい側面もある。食物アレルギーのある児童が給食後に亡くなる事故も発生しており、疾患によっては対応を誤ると命を失いかねない。

ところが、せっかく患者が病院を受診しても、必要な治療が受けられなかったり、患者の中には医学的根拠の薄い民間療法に頼ったりして、症状を悪化、慢性化させてしまうケースも少なくない。この点がアレルギー疾患対策の大きな課題となっている。

このため基本法は、全国どこに住んでいても適切な治療が受けられることを理念に掲げており、厚労省の協議会では、専門的な医療提供機関の整備や、国・地域の拠点病院と、かかりつけ医との協力体制を進めることが検討されている。とりわけ、不足している地域の拠点病院をいかに整備していくかが大きな焦点であろう。専門医などの人材の育成も必要だ。基本法の理念の実現へ、実効性が担保された基本指針となるよう強く求めたい。

また、公明党の要請により、アレルギー疾患を統括する部署や担当者を自治体に設置することが検討項目となっていることは評価できる。実現すれば、自治体と医療機関、学校や保育所などとの連携の強化が期待できるからだ。

今後、基本指針が策定され運用が始まれば、自治体による積極的な取り組みが重要になる。公明党の国と地方の議員ネットワークの力を生かし、具体策を後押ししていきたい。

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