e最先端医療の国際拠点に

  • 2016.09.28
  • 情勢/国際

公明新聞:2016年9月28日(水)付



難病治療の実用化を加速
ライフイノベーションセンター(LIC)
神奈川県



神奈川県が再生・細胞医療のグローバル拠点として整備した「ライフイノベーションセンター」(LIC、川崎市川崎区殿町3丁目)の開所式が8月25日に行われた。羽田空港の多摩川対岸にあり、ライフサイエンスにおける世界水準の研究機関が集まる殿町国際戦略拠点「キングスカイフロント」の一角に立地する。公明党の三浦信祐参院議員と神奈川県議団(小野寺慎一郎団長)のメンバーはこのほど、LICを視察し、関係者と意見交換した。


実験室をベンチャーが共同利用


LICは、再生・細胞医療の実用化・産業化をめざす国内外の関連企業やベンチャー企業、大学などを支援するため、県と民間が共同で整備したもの。

地上4階建てで延べ床面積は約1万6000平方メートル。細胞の培養から加工、品質評価、出荷まで一貫した流れで行える施設となっている。

具体的には、1階は大型機器が搬入可能な細胞培養・生産・加工を行えるフロアとなっており、2階から3階はラボ・オフィスとして、国内外の有力企業や研究機関などが入る。また2階には、将来的に、最新の再生・細胞医療を提供する場としてクリニックなどの臨床機能の導入をめざしている。4階はベンチャーフロアとして、高額な研究・測定機器を低額(2017年3月までは無料)で共同利用できる実験室(オープンラボ)も備える。

県によると現在、バイオ3Dプリンターの開発を推進する株式会社リコーや、最先端の再生医療とロボット技術の融合に取り組む慶應義塾大学とサイバーダイン株式会社などを含む20の事業者の入居が決定しており、今後公表する事業者も含めて床面積の9割以上が埋まっているという。

一行はセンター内の各フロアを見学し、遺伝子治療製剤の研究開発・製造を行う株式会社遺伝子治療研究所を訪問。浅井克仁代表取締役は、有効な治療法がなく、発症すると筋力が低下し数年で亡くなる神経難病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の遺伝子治療の実用化をめざしていることを説明し、「世界で初めての治療方法になる」と強調した。

続いて一行は、心筋梗塞などによって壊死した心臓組織を再生させる技術の実用化に向けた研究開発を行うベンチャー企業、株式会社メトセラを訪れた。共同代表の一人である野上健一代表取締役は高額な実験機器を自前でそろえることが困難であることに触れ、「10月から共同の実験室がオープンするので非常にありがたい」と話し、「これから日本でも(外部から技術やアイデアを取り込むことで新しい価値を生み出す)オープンイノベーションが進んでいくと思うので、技術を確立し、いろいろなプレーヤーと組んで、患者に届けていきたい」と抱負を語った。このほか、iPS細胞由来分化細胞の開発、製造、販売などを行うセルラー・ダイナミクス・インターナショナル・ジャパン株式会社を視察した。


公明が一貫して推進

その後、県の担当者と、研究者の事務負担軽減や、人材確保のための環境づくりなどを巡って、活発に意見が交わされた。

党県議団はこれまで、定例会や委員会の質疑を通じて、LICの設置を一貫して推進。またベンチャー支援やクリニック機能の導入など、その充実について何度も提案を行ってきた。

視察後、三浦氏は「人の命を守る技術革新を進めるベンチャーを、政治の分野からバックアップしていきたい」と語り、小野寺団長は「新たなイノベーションの創出に向けて、事業者同士の横のつながりや、県や国などの関係機関とのネットワークづくりを後押ししていきたい」と述べた。

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