eコラム「北斗七星」

  • 2016.09.27
  • 情勢/社会

公明新聞:2016年9月27日(火)付



秋の長雨の中、つかの間の青空が広がった日に、久しぶりにセミの鳴き声を聞いた。もう忘れかけていた暑い夏の印象がよみがえるような気がした◆子どものころ、「セミは成虫になると1週間しか生きられない」と教わった。しかしこれは俗説で、実際には1カ月ぐらいは生きるらしい。土の中の数年間の幼虫時代と合わせれば、セミは昆虫の世界でかなり長寿の部類に入る◆長寿と言えば、「週刊少年ジャンプ」に40年間連載し、ギネス記録にもなった漫画『こちら葛飾区亀有公園前派出所』が今月終了した。作者の秋本治さん(63)は最終話で、主人公の両津勘吉に「この辺で有給休暇を与え、休ませてあげようと思います」と綴った。だが、自身は今冬から新たに4本の連載作品に取り組むことを発表。創作への強い意欲に感嘆させられた◆内閣府が2014年、60歳以上の人に、何歳ごろまで収入を伴う仕事をしたいかを聞いたところ、「65歳」から「80歳」までが合わせて3割超、「働けるうちはいつまでも」という回答も3割近くあった。それは決して経済的理由だけではないだろう◆日本人の平均寿命は、ほぼ毎年伸び続けている。何歳になっても、「さあこれからだ」と前向きに生きるシニア世代の意欲を、しっかり支えられる社会づくりを急がなくてはならない。(千)

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