e水産物の加工・販売で 障がい者と漁業者が協力

  • 2016.09.26
  • 生活/生活情報

公明新聞:2016年9月26日(月)付



工賃のアップ実現へ
県のモデル事業で増産体制整う
地域の活性化にも期待
鳥取県



障がい者福祉と漁業の両分野が連携し、障がい者が水産物の加工・販売などに取り組む「水福連携」活動が鳥取県で注目を集めている。障がい者の工賃アップとともに、漁師の高齢化や人手不足が深刻な漁業の活性化が期待される。公明党の沢紀男県議はこのほど、この活動を担っている同県米子市のNPO法人「ライヴ」(大田百子理事長)が運営する障がい者就労支援施設「リヴよどえ」などを訪れ、話を聞いた。


主力商品が東京などで好評

2011年4月に設立した「リヴよどえ」は、精神障がい者を中心に約30人が通う。開所当初、漁業者から「乾燥わかめ」の製造作業の一部を受託したことがきっかけとなり、水産加工業に携わるように。「とてもやりがいがある」「磯の香りに癒やされる」などと施設を利用している障がい者の反応も良く、翌年には、県の補助金(約2500万円)を活用し、新たに作業施設を設置。水産物加工設備を導入した。施設の利用者は、漁師の指導を受けながら、海藻を洗って乾燥させたり、イカやトビウオなどの内臓を取り出す下処理作業などを行う。

同施設が最初に商品化した「板わかめ」は県特産品コンクールで優秀賞を受賞し、県ふるさと認証食品になるなど主力商品に。ワカメのほかにも数種類の海藻を乾燥させるなどして、東京のアンテナショップやJR西日本などで販売。板わかめに関しては「生産が追い付かない」(大田理事長)ほど好評を博している。

同施設の昨年度の月額平均工賃は約1万4000円。昨年の売り上げは約800万円に達した。

また昨年11月には、県の水福連携モデル事業として、同県大山町の御崎漁港内に、複数の就労支援施設から利用者が集まり、共同で作業する水産加工所を開設。同法人が実施主体となって取り組んでいる。施設間の交流を図りながら作業ができるとともに、商品の増産体制が整い、さらなる工賃アップが期待される。

大田理事長は、「御崎漁港の漁師の方々は、加工作業に励む利用者の姿を見て、大変に喜んでいる。中には、『漁師をやってみんか』と言われる利用者もいる」と話す。そうした取り組みが評価され、同法人は県漁協から仲買権(魚介類を漁師から直接仕入れる権利)を付与されている。

議会質問を通じて「水福連携」を推進してきた沢県議は、「障がい者と漁業者が協力することで、就労支援のみならず、地域の活性化につながる取り組みだ。全国に発信する後押しをしていきたい」と述べていた。

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