e官民合同チームと共に 福島再建へ歩む(3)

  • 2016.09.23
  • 生活/生活情報
[画像]メインイメージ

公明新聞:2016年9月23日(金)付



「戻りたい町」を創造
本業も設備投資拡大
夜道照らすコインランドリー再開
クリーニング業(楢葉町)



東京電力福島第1原発の南に位置し、ほとんどが半径20キロ圏内にある福島県楢葉町。町の中心部を走る国道6号沿いで、コインランドリーが人通りの少ない夜道を明るく照らしていた。昨年9月に避難指示が解除され、一定程度の住民が戻る「帰町目標」を2017年春に控える中、業務用クリーニング業「ヘルシージャパン」の渡辺清社長(67)が「町に明るさを取り戻し、帰還をためらう住民に少しでも安心感を与えたい」との思いで営業を再開した。

渡辺社長は、楢葉町の農家の生まれ。東京でのサラリーマン生活を経て、34歳でUターンし、業務用クリーニング業を始めた。原発事故の前は、地元のホテルや会社の寮、介護施設を得意先とし、布団の丸洗いや貸布団などを本業にしていた。原発事故による避難生活で休業を余儀なくされていたが、2011年6月には避難先のいわき市で事業の一部を再開。これに続き、12年10月には除染作業員向けに貸布団を提供するため、特別な許可を受けて楢葉町の自社工場での営業を再開させた。

避難期間中の整備不良で使用できなくなった自社工場の設備など、原発事故に伴う被害総額は約4000万円に上った。しかし、事業の再建に向け、自己資金に加えグループ補助金などの支援制度を活用することで新たな設備を整えた。

現在は官民合同チームの相談支援を受け、自社工場に隣接する土地に、貸布団を集約し保管できる新倉庫を建設する計画を進めている。

官民合同チームのきめ細かなアドバイスを受ける中で、約2000万円の費用のうち、4分の3を国の補助で賄えることを知り、新たな設備投資を決断。渡辺社長は、官民合同チームを「大変心強く、長く存続してほしい」と強調する。

客はまだ少ないものの、楢葉町に明かりをともそう―。コインランドリーを再開させた渡辺社長は今、2号店の出店計画も検討している。「避難している町民が『楢葉に戻りたい、住みたい』と思える町を創造していきたい」。自社の経営安定とともに、少しでも多くの商工業者が官民合同チームの支援を得ながら、楢葉町で事業を再開させることを切に願っている。

月別アーカイブ

iこのページの先頭へ