e企業主導型保育 中小事業者の運営に支援を

  • 2016.09.21
  • 情勢/解説

公明新聞:2016年9月21日(水)付



保育所が職場かその近くにあると安心して仕事ができる―。こうした企業内保育所の普及を推進する公明党の提言を受け、政府は今年度から「企業主導型保育事業」を通じて、その取り組みを後押ししている。

これは、主に従業員の子どもたちを預かる保育所を企業がつくる際、国が施設の運営費や整備費について認可保育所並みに助成するものだ。これまでの企業内保育所の設置に対する助成制度を一段と拡充したものとなる。

今月上旬、この事業の第1次募集として38都道府県の150施設の助成が決まった。目を引くのは中小企業が83件と半数以上を占めたことだ。

この事業では、従業員のニーズに応じて、保育所を職場の最寄り駅近くや住宅街にも設置できるほか、ショッピングセンターなど大型商業施設内に設けて各テナントと共同で利用することも可能となった。また、立地場所の近い複数の企業同士が共同で保育所をつくることも認められている。こうした柔軟な設置条件が、中小企業の背中を押すことにつながったのであろう。

今後、中小企業側にとって、利用者である社員のさまざまなニーズを的確につかみ、施設の運営に生かせるかが重要になってくる。そのためには、企業の運営をバックアップしていく仕組みが必要になる。自治体は積極的に相談に応じてもらいたい。

今回、助成が決まった企業の保育所の運営が軌道に乗れば、より多くの企業が設置に乗り出すだろう。こうした事業があることも含め、さらなる広報・周知に力を入れてほしい。

また、今回の事業による保育所は保育士の配置が認可施設よりも手薄なため、「保育の質」は大丈夫か心配する声もある。研修制度の充実など質の確保にも力を注ぎ、子どもを預ける親たちが安心して利用できる制度に育てていきたい。

こうした施策は、特に待機児童問題が深刻な都市部において重要である。全国の待機児童数の3割以上を占める東京都では、今回決定したのは6施設にとどまった。企業や従業員にどれほどのメリットがあるかを粘り強く訴え、普及を進めていきたい。

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