e赤潮被害から漁業守れ

  • 2016.09.20
  • 情勢/解説

公明新聞:2016年9月20日(火)付



養殖ブリが大量死
公明県議団、現地を調査
現地ルポ
鹿児島・長島町



鹿児島県長島町の養殖場で植物プランクトンが増殖し、赤潮被害が発生している。基幹産業であるブリの養殖に携わる漁業関係者らは、不安を隠せない。公明党県議団(成尾信春団長)の成尾、持冨八郎、松田浩孝の各議員は15日、同町を訪れ、被害状況を調査した。

急がれる養殖業者への支援

無残な姿になった大量の魚と、周囲に立ち込める悪臭―。党県議団と共に宮之浦漁場とその周辺を歩いた。丹精込めて育てた養殖ブリを、処分しなければならない漁業関係者の気持ちを思うと胸が痛んだ。

同町は海岸線が長く、入り江が多いことから潮の流出入が良く、養殖に最適な土地。養殖ブリの年間出荷量は200万尾で、日本一のブリ養殖地として知られる。町独自のブランド魚「鰤王」は、海外にも販路を広げる人気商品だ。

党県議団はこの日、同町鷹巣にある「東町漁業協同組合」で、川添健町長らと懇談。川添町長は「今後もたくさんの人に町のブリを食べてもらうために、養殖業を守ってほしい」と要望した。

「急なことで、どうすることもできなかった。風評被害が広がらなければいいが......」。40年以上、ブリの養殖を続ける浜健男さん(67)は表情を曇らせる。

県水産振興課によると、同町が今月8日、赤潮の発生を確認し、県が「赤潮警報」を発令。翌日にはいけすで死魚を発見し、県と同漁協はそれぞれ対策本部を設置した。町は約11万尾の養殖ブリの処分を余儀なくされ、被害総額は1億6000万円にも上る。県と同漁協は漁港近くの土地を使い、埋設処理を行った。現在も県は警報を継続している。

同町では過去に2009年、10年も同様に赤潮が発生し、大きな被害を受けた。しかし、降雨量や日照時間など、さまざまな自然環境の変化により発生する赤潮を完全に防ぐ方法は、今のところ存在しないため、漁業関係者の不安は増すばかりだ。

今回の赤潮の原因である有害プランクトンは魚を窒息死させる「シャットネラアンティーカ」とされる。特にブリやマグロなど遊泳性のある魚が被害を受ける。町水産商工課の久保良昭課長は「一見海水がきれいに見えても、有害な赤潮プランクトンが潜んでいる場合がある。細心の注意を払って危機管理態勢を十分にしていきたい」と語る。

視察後、成尾団長は「被害がこれ以上広がらないよう、対策に努めるとともに、養殖業者に対する支援を県に働き掛ける」と約した。

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