eコラム「北斗七星」

  • 2016.09.13
  • 情勢/社会

公明新聞:2016年9月13日(火)付



かつて、週刊誌の記者だった作家の塩田丸男は原稿を出す度に上役に言われたことがある。「この話はホントかね。ホントにホントかね」と。河合隼雄編『日本の名随筆/冗談』(作品社)で知った◆同著によれば、次第に社内で「ウソのようなホントの話の本家本元と目された」らしい。それにしても「ウソのようなホントの話」なのか、「ホントのようなウソの話」なのか、判別し難い場合がある。「145歳の男性発見」のニュースは、その最たるものだろう◆発信元はインドネシアのTV局。政府発行の身分証には「1870年12月31日生まれ」と記されている。ひ孫らと暮らし、杖を使えば一人で歩けるほど健康だ。ただ、地元自治体では「身分証が本物かどうかは本人しかわからない」(読売)という◆年齢の真偽は霧の中だが、興味深いのは男性が歩けること。武藤芳照著『転倒予防』(岩波新書)では、踏み台昇降など健脚度の総合評価が低い高齢者は、普通の高齢者に比べ要介護に陥る危険性が2.5倍増えるとも。「老化は足から」が"ホント"なら、老化防止もまた足からだろう◆公明党は適度な運動の推進から食生活の改善まで、健康寿命の延伸に力を入れてきた。「敬老の日」も近い。転倒予防へ「ぬ・か・づけ」(濡れた所・階段・片付けていない所)に注意しつつ、健康な日々を、と願う。(田)

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