e被災農家 牧場移転し再起

  • 2016.09.05
  • 情勢/社会

公明新聞:2016年9月3日(土)付



福島・飯舘村から千葉・山武市へ   
和牛肉を出荷し好評



飯舘牛の味を守りたい―。東日本大震災による福島第1原発事故の影響で、福島県飯舘村から千葉県山武市に移り住み、「小林牧場」を営んできた畜産農家の小林将男さん(60)は今年6月、市内で牧場を移転して再スタートを切った。再起を支援してきた公明党の平木大作参院議員、党県議団(藤井弘之団長)、市議会公明党(本山英子幹事長)のメンバーはこのほど、同牧場を訪れ、経営状況などについて小林さんから話を聞いた。

小林さんは、飯舘村で黒毛和牛のブランド「飯舘牛」を育てていた。震災で村内全域に避難指示が出され、牛の飼育を続けるため、2011年4月に空き畜舎を確保できた山武市に移住。トラックで牛142頭を運び、牧場経営を続けてきた。

だが、同村で生産しなければ「飯舘牛」の名は使えない。このため、村の方言である「までい(丁寧に)」にちなみ、ブランド名を「までい牛」に変更し、12年4月から出荷を再開。「までい牛」を食べることができる千葉県内の3店舗には現在、伝統の和牛の味を求め、多くの客が訪れている。

県内で最初に「までい牛」を扱ったという「まんまや」(同市)の店主は、「小林さんと精肉業者らとの連携もスムーズに行われ、生産者の顔が見えるので安心。熟成された牛肉の味をもっと多くの人に食べてもらいたい」と語っていた。

振り返れば、小林さんが牧場を再開するに当たり、畜舎を借りられる契約期間は5年間に限られていた。「できれば移転先は同じ市内で」。そう考えた小林さんは経営の傍ら、飼育環境や経費負担など条件に見合った場所を懸命に探したが、思うように見つからなかった。


公明が後押し  県と市の支援実る

事態を打開するきっかけは13年春。牧場を訪ねた公明党の川原春夫市議(当時)に相談したことだ。川原市議は、すぐに党県議団の藤井団長に事情を説明。翌8月、平木氏と党県議団、市議会公明党のメンバーが牧場を訪問し、小林さんから詳しく実情を聞いた。

これを踏まえ、党県議団の赤間正明議員が9月の本会議で、被災地から避難して山武市に移り住んでいる被災農家の現状を取り上げ、県が積極的に支援するよう主張。県側から「市と連携しながら、避難農家の地元定着へ向けて必要な取り組みを検討していく」との答弁を引き出した。また、市議会公明党も小林さんに寄り添い、被災農家に必要な支援を市に訴えた。

県と市は連携しながら候補地探しを手助けし、15年夏にようやく移転先が確定。一方、畜舎については飯舘村を通して復興交付金で建てる道が開け、今年3月に完成した。

同牧場を訪れた一行は、牛の飼育環境や出荷状況などを確認。子牛の値段高騰時の対処法など、今後の畜産業の課題について意見を交わした。小林さんは「(公明議員が)声を聞いてくれて感謝している。地域で協力しながら、これからも自慢の味を広めていきたい」と意気込んでいた。

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