eストーカー対策強化へ

  • 2016.08.22
  • 情勢/解説
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公明新聞:2016年8月21日(日)付



与党WT、改正法案で合意
ブログやツイッターなどSNSを規制対象に
罰則引き上げ、迅速に禁止命令



執拗なつきまといや無言電話などによるストーカー被害が後を絶たない中、5月に東京都小金井市で発生した女子大学生の刺傷事件を受け、ストーカー対策の強化へ向けた動きが進んでいる。自民、公明両党の与党ストーカー規制法改正に関するワーキングチーム(WT、平沢勝栄座長=自民、大口善徳座長代理=公明)は4日、規制対象の拡大などを盛り込んだ改正案で合意した。同案のポイントと公明党の取り組みを解説する。

今回の改正案はまず、「つきまとい等」の対象を広げた点が大きなポイントだ。

嫌がる相手に繰り返し電子メールを送信する行為は現行法で禁止されているが、改正案では、ツイッターやLINE(ライン)、フェイスブックといったインターネット交流サイト(SNS)でのつきまといも対象に加えた。具体的には、相手に拒否されてもSNSなどで繰り返しメッセージを送ったり、ブログにコメントを書き込んだりするような行為が想定されている。小金井市の事件は、被害者が容疑者からツイッターなどで執拗にメッセージを送られていたことが発端だった。

また、現行法で規制される被害者宅付近での見張りや待ち伏せに加えて、みだりにうろつくような行為も明確に処罰されることになった。

事件の緊急性が高いと判断された場合は、警察の警告がなくても、都道府県の公安委員会が被害者への接近禁止命令を加害者に出せるようにして、迅速な対応を可能にする。相手がストーカー行為をする恐れがある人と知りつつ、その人に被害者の氏名や住所などの情報を教えることも禁止した。実際にエスカレートしてストーカー行為に及んで、被害が発生する危険性が高くなるからだ。

ストーカー行為罪の罰則制度も見直される。現在、同罪は被害者の告訴が必要な親告罪だが、これでは被害者の心理的なハードルが高い上、加害者からの逆恨みなども懸念される。そこで、改正案では告訴がなくても検察が起訴できる非親告罪にあらためる。同時に、比較的軽いとされてきた量刑は、「6月以下の懲役または50万円以下の罰金」から「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」などに引き上げる。

一方、改正案では被害者支援も強調している。一時避難のため民間施設で滞在したり、長期避難で公的賃貸住宅に入居したりすることについて、国と自治体が配慮に努めるよう明記した。また、加害者の中にはストーカー行為で摘発されても繰り返す人が少なくない。そこで、再犯防止策の一環として、加害者を更生させるための方法や被害者の健康回復に関する調査研究についても、国と自治体に推進するよう求めている。

公明案を基に取りまとめ。臨時国会で提出、成立期す

悪質なつきまといや待ち伏せなどを厳しく処罰するストーカー規制法は2000年に施行された。13年の改正では、電子メールの送信行為についても新たに規制された。同法の施行と改正はいずれも、公明党が積極的に推進してきたものだ。

この13年の改正法の付則には、ストーカー行為の多様化などに対応するため、規制のあり方を全般的に見直していくことが記された。これを受け、政府は同年11月から8回にわたり有識者検討会を開催。同会の委員には、公明党の主張により、被害者の遺族や支援団体代表も加わった。そして、14年8月に同会が報告書を公表したのを踏まえ、公明党は独自に法案に取りまとめた。今回の与党の改正案は、この公明案を基にしている。

公明党のストーカー規制法等改正検討プロジェクトチーム座長でもある与党WTの大口座長代理(国会対策委員長)は、「野党の協力も得て、秋の臨時国会での法案提出、成立を期していきたい」と語っている。

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