e「第1」制定から65年 ラジオ体操 魅力再発見

  • 2016.08.17
  • 情勢/解説

公明新聞:2016年8月15日(月)付



全身運動の継続で効果 体内年齢が20歳若く
ラジオ体操魅力再発見



新しい朝が来た 希望の朝だ――。夏休みの風物詩の一つ「ラジオ体操」。今年も早朝6時30分をめざして、出席カードを首から下げた親子連れやお年寄りが、近くの公園などに集い合う。始業前の職場や建設現場などでも行われているラジオ体操。元日本体育大学教授でNPO法人全国ラジオ体操連盟の青山敏彦理事長に話を伺い、日本で最も有名な体操の魅力に迫った。

国民の健康増進と体力向上などを目的に、旧逓信省がラジオ体操を制定したのは1928年(昭和3年)。NHKの前身である東京中央放送局によるラジオ放送は同年11月1日から始まった。「時代背景もあり、当時のラジオ体操は鍛錬的な要素が強く、戦後の一時期、武道などと同じく禁止されていた」(青山理事長)。

現在のラジオ体操「第1」が制定されたのは51年(昭和26年)で、今年はちょうど65年。翌52年には「第2」も誕生した。以来、ラジオ体操は年齢を問わず、いつでも気軽に行える体操として、全国で親しまれている。

ラジオ体操は「第1」「第2」とも、13の動きから構成される全身運動で、左右対称に同じ動作を行う。体を前後・左右・上下に動かすことで、頭からつま先までバランスよく刺激を与えられるように考案されており、青山理事長は「呼吸は止めずに、力まず、ゆったりと、使っている筋肉や伸びている部位を意識しながら、大きな動作で行うことが大事」と解説する。

ここに一つのデータがある。神奈川県立保健福祉大学の研究会が、ラジオ体操を3年以上、週5日以上実践している55歳以上の男女543人の健康状態を調査した。それによると、男女とも各年代で基礎代謝量や筋肉量などから算出する「体内年齢」が、実年齢より約20歳も若いという結果が出た。また、血管年齢や骨密度なども良好な数値であることが分かった。

この結果について青山理事長は、「ラジオ体操は第1、第2とも3分程度であり、例えばダイエット目的に行っても即効性は期待できない」と指摘する。ただ、長く続けることで全身の筋肉をくまなく使うことが習慣化されるという。「基礎代謝が上がり、筋力も付き、結果的に痩せやすい体づくりや転倒予防、柔軟性の維持などに役立つのでは」と話す。

青山理事長は、ラジオ体操について、身体的な効果とは別に「地域コミュニティーの再構築」にも役立つ点に注目している。「各地の公明党の議員からも、地域づくりの一助にラジオ体操を役立てたいとの相談が寄せられている。今後は、そうした面での普及にも力を入れたい」と意欲的だ。

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