eベラルーシなどを視察して

  • 2016.08.05
  • 情勢/国際

公明新聞:2016年8月5日(金)付



チェルノブイリ原発事故から30年
手記
若松 謙維 復興副大臣(公明党)



風評対策で放射線教育が重要


7月17日から21日まで、チェルノブイリ原発事故から今年で30年を迎えたベラルーシ、ウクライナ両国を訪れ、復興や風評克服などについて視察しました。

ウクライナにある同原発は1986年に事故を起こし、隣国ベラルーシにも甚大な被害をもたらしました。原子炉自体の爆発などで放射性物質が広範囲に拡散し、ベラルーシでは当時、国土の23%が汚染されましたが、現在は17%程度と改善されています。

ベラルーシのゴメリ州にあるホイニキ市(同原発から73キロ)では、チートク市長らと意見を交換。復興の取り組みにより、事故後に減った人口は回復し、出生率も向上しているとの現状を聞きました。

また、同市内の乳製品メーカー「ミルカヴィータ」社のチーズ工場を訪問。同社によると、牛の肥料を放射線量が高い牧草からトウモロコシなどに代えて生産された牛乳を使うことで、国の厳格な品質管理基準を順守するとともに、品質向上によるブランド化にも成功したとのことでした。

同市近郊の「ストレチェヴォ農場」では、政府による牛乳の全量買い上げが行われており、農業復興には大胆な発想も必要であると感じました。

同市の小学校も訪れ、児童らが行う地元食料品の放射線検査を見学。子どもたちが日常生活で食料の放射線リスクを知り、対処方法を学ぶことの重要性を確認しました。風評被害対策には、若い世代が正しい知識を身に付けることが大切であり、ベラルーシと福島の学校間交流の必要性を認識しました。

一方、ウクライナでは、セメラーク環境・天然資源相と懇談。原発30キロ圏内の立ち入り禁止区域では、規制から活用に方針を転換し、太陽光発電や観光などに力を入れ、特に観光は一般の視察を受け入れることで、情報発信が自然と行われる環境づくりが進められていました。

両国訪問を通じて、産業復興や風評対策の放射線教育などを学ぶことができました。今回の経験を生かし、「新生福島」を築くために力を尽くしてまいります。

月別アーカイブ

iこのページの先頭へ