e災害と法律相談 熊本地震でモデルつくりたい

  • 2016.07.14
  • 生活/生活情報

公明新聞:2016年7月14日(木)付



大規模災害の被災者が収入や資産に関係なく、日本司法支援センター(法テラス)の無料法律相談を受けられるようになる改正総合法律支援法が今月から一部施行された。対象となる「非常災害」に熊本地震が初めて指定された。

これまでは災害の発生後に特例法を成立させて対応していたが、一定規模以上の災害ならば一律に無料法律相談が受けられるようになった。同法の制定に取り組んだ公明党として歓迎したい。

熊本地震の発生時、熊本県内に自宅や営業所があった被災者は来年4月13日まで、生活再建に必要な民事上のトラブルに関して全国の法テラスや指定された避難所などで無料法律相談を受けられる。

きょう14日、発災から3カ月を迎える熊本地震では、支援物資の滞留や避難先の確保、復旧作業のマンパワー不足といった問題が起きた。現在、そうした問題はある程度解消に向かいつつあり、仮設住宅は約4割が整備された。

生活再建に向けた新たなステージへと踏み出した被災者の中には、今後は法律でしか解決できない問題に直面する人も出てくるだろう。

東日本大震災では、住宅ローンの返済猶予や失業給付の手続きなどの解決に無料法律相談が大いに役立った。法律相談をきっかけに現行法の不備が洗い出され、法改正につながったケースもあった。一定の条件下で二重ローンを免除・減額する制度の実現や災害弔慰金の支給対象拡大は、その代表例だ。いずれも公明党が実現に寄与した。

被災者の中には、悩みを抱えていてもどうすれば良いか分からない人もいる。しかも、普段あまり接する機会がない弁護士に相談するのは気が引けると感じる人は少なくない。東日本大震災では、法律相談会を開催しても参加者が少なかったことを踏まえ、集会場で被災者と弁護士がお茶を飲みながら懇談する中で、言い出せなかった法律問題が明らかになり、解決に向けて動き出すこともあった。

熊本地震でも、この経験を踏まえ参加しやすい巡回法律相談の実施や、地域住民と関わりの強い自治体職員との連携強化などを進め、大規模災害における法律相談のモデルケースをつくりたい。

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