e弱視の子どもたちの学びを支援

  • 2016.07.13
  • 生活/子育ての補助金・助成金

公明新聞:2016年7月13日(水)付



大活字図書の購入を補助
三重・津市、紀北町



眼鏡をかけても小さな文字が見えづらい弱視の人たちの読書や学びを支援しようと、三重県津市と紀北町は今年度、国の「日常生活用具給付等事業」を活用して、通常の書籍より活字の大きい大活字図書の購入費の補助をスタート。補助の対象には、弱視の児童や生徒が学校の授業で使う教科書の副教材の作成費用も含まれ、教育の機会均等を前進させる取り組みとして関係者から喜ばれている。


「前向きな気持ちになる」 国の給付を活用 "拡大版"副教材も対象に

日常生活用具給付等事業は、紙おむつなどの日常生活用具を必要とする障がい者の生活を支援するもの。障害者手帳を持っていれば1割負担で用具を購入でき、1人当たり年間最大6万円まで補助される。市町村が事業主体となり、各自治体が独自に補助品目を定めるため、国が2014年5月に、対象品目の参考例として大活字図書を示したことから一部の自治体で導入が進んだが、現状はまだ少数にとどまっている。

大活字図書は一般的な書籍の活字が約3ミリ四方なのに対し、約7~9ミリと大きく読みやすい。学校でも文字を大きく太くした拡大教科書の導入が進み、字間や行間を広げグラフやイラストも見やすく工夫し、弱視の児童や生徒の学びを助けている。

08年には公明党などの推進で拡大教科書の普及促進のための法律が施行。今はほぼ全ての教科書会社で拡大教科書が発刊され、児童や生徒に無償配布されている。しかし、ワークブックやドリルなど教科書に準拠した大半の副教材には"拡大版"がなく、ボランティアが手作りで用意して弱視の児童・生徒に手渡しているのが現状だ。

大活字にするとその分、ページ数が増え、1冊の本が3冊程度になり金額も高くなる。人手不足も加わり作成に長い時間を要する上、紙やインクの実費だけでも1冊当たり数千円程度かかり、保護者の経済的な負担にもなっていた。


公明の市、町議が連携し実現


こうした課題について、拡大教科書で学習する小久保優香さん(14)を受け持つ教員から、実情を聞いた公明党の堀口順也市議は、昨年12月定例議会で、日常生活用具給付等事業に、副教材の作成費を含む大活字図書を品目に加えるよう提案し、市側も対応を約束した。

その後、優香さんが津市から紀北町に転校したことから、堀口市議は公明党のネットワークで大西瑞香町議と連携。紀北町でも同様の補助制度を実現した。

実現を受け、堀口市議と大西町議はこのほど、小久保さん宅を訪問し、優香さんや母親の久美子さんと懇談。「頑張って勉強しよう、という前向きな気持ちになる」と喜ぶ優香さんの姿に、久美子さんも「本当にありがたい取り組み」と感謝した。その上で、活字の大きい副教材は手作りのため、定期テストの直前にようやく手元に届くこともあり、勉強時間が限られるなどの課題についても意見を交わした。

このほか、文部科学省が導入を検討しているタブレット端末に教科書データを収めた「デジタル教科書」も話題となった。堀口市議らは「画面上で文字やグラフを拡大できるデジタル教材は、弱視の人に読みやすくする研究が進められている上、軽量で持ち運びしやすい長所がある。公明党の国会議員と連携し、副教材も含むコンテンツ(情報内容)の充実を求めていく」と話した。

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