e地震動予測地図 「いつ、どこでも」前提の備えこそ

  • 2016.06.20
  • 情勢/解説

公明新聞:2016年6月20日(月)付



「いつ、どこでも」の構えで、普段から「備え」を万全にしておくことが肝要だ。わが家、わが地域とわが職場の防災力アップに生かしたい。

政府の地震調査委員会が、今後30年以内に震度6弱以上の大地震が発生する確率を示す2016年版「全国地震動予測地図」を公表した。

ひと目見て改めて実感するのは、この国が世界有数の地震多発地帯であるという現実だ。北は北海道から南は九州・沖縄まで、「確率0%地帯」は一つとして見当たらない。「全国どこでも大地震は起こる」(同調査委)ことを、地図は冷酷なまでに浮き彫りにしている。

「いつ、どこでも」―。この心構えの大切さを重ねて強調しておきたい。

中でも、細心の注意を払う必要があるのが、最大で32万人超の死者が出ると予想されている南海トラフ巨大地震への対応だろう。

予測地図でも、震源域である静岡県沖から四国沖にかけた地域の確率は、前回14年版から軒並み上昇しており、高知市で73%、徳島市で71%、静岡市で68%などと極めて高い数値になっている。

海側と陸側のプレート(岩板)のぶつかり合いによる"地下の歪み"が、着実に広がっているのだろう。調査委も「南海トラフ地震の発生が近づいている」と説明している。

首都直下地震や相模トラフ地震が予想される関東地域も、千葉市85%、横浜、水戸市81%と"高止まり"したままだ。首都・東京も前回同様、47%の高確率で変わらない。

国・自治体に求められるのは、これらのデータをどう生かすかとの視点だろう。

幸い、国はこのほど、公明党の強力な推進で13年12月に成立した国土強靱化基本法に基づき、防災・減災対策の具体的な取り組みや数値目標を盛り込んだ行動計画「国土強靱化アクションプラン2016」をまとめたばかりだ。

その推進に当たって、全国の地震発生リスクが一目瞭然で分かる予測地図を活用しない手はあるまい。

地域の防災拠点づくりから住宅耐震化率の向上、地震発生時における自治体の業務継続計画の策定まで、より効果的で重層的な地震対策を、急ぎ仕上げてもらいたい。

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