e"今こそ恩返し"の思いで

  • 2016.06.13
  • 生活/生活情報

公明新聞:2016年6月11日(土)付



つなぐ~熊本・東日本・阪神~<上>支える
ニーズ調査や農家の手伝い
学生ボランティアが奮闘



夏を思わせるようなじりじりとした日差しが朝から降り注いでいた。崩れたブロック塀、亀裂の入った道路、ひしゃげた木造家屋......。壊れた家々を覆うブルーシートがまぶしく輝き、緑の大地で異様な存在感を放っている。

ここは、阿蘇山麓の西側にある自然豊かな熊本県西原村。熊本地震の本震で震度7の激震に襲われ、5人が犠牲となった。1250棟超の住宅が全半壊し、「危険」を示す赤い紙があちこちに張られている。

そんな村を歩き回り、被害の大きかった地域で、山あいに点在する小さな集落で、被災した人たちの要望に懸命に耳を傾ける大学生たちの姿があった。「お困り事はありませんか」「できることがあれば、お手伝いします」―。

彼ら彼女たちは、関西の地からやって来た学生ボランティア。「現地のために少しでも役立てれば」と京都や神戸から車2台に分乗して夜中に発ち、約750キロの道のりをものともせずに、被災地に入った。

参加者の中には、阪神・淡路大震災が起きた1995年に兵庫で生まれたメンバーも。その一人の櫻田大樹さん(21)は「いろんな人が助けてくれたから、今の自分がいる。恩返しの気持ちで来た」と優しげな表情を引き締める。

期間は4日間。3班に分かれ、被災者のニーズを調査し、その情報をボランティアセンターに届ける活動のほか、避難所運営や学校の支援、被災農家のお手伝いに精を出した。

「まさか自分が被災するなんて」「これから、どげんしていいかも分からん」。やまない余震と長引く断水を嘆き、疲れた様子で自宅の片付けに追われていた住民たちも、学生が汗だくになって奮闘する姿に、顔をほころばせた。

村の中心部から数キロ離れた葛目地区に住む中村ミサ子さん(81)は「住民の半分が避難生活で集落を離れ、人と話す機会が減って寂しかった。県外から応援に来てくれる若い人がいるだけで、気が休まって元気が出る」と目を細めた。

今回、熊本を訪れたメンバーの多くは、東日本大震災の被災地に足を運び、活動をした経験もある。その中心役は、「阪神」をきっかけに設置された兵庫県立舞子高校の「環境防災科」出身で、東北支援や防災教育に取り組む学生団体「with(ウィズ)」の代表を務める久保力也さん(22)。

久保さんは「被災した人の中には、必要とすることを言い出せない人もいることを、東北の支援で知った。その体験を生かし、本当に支援してほしい人に、しっかり手が届くようにしたかった」と力説する。

ボランティアを終え、学生たちは「人と人とのつながりの大切さを感じた」「将来は看護師をめざしている。今回の経験を生かして、勉強を頑張りたい」などと口々に語っていた。久保さんも「熊本に関心を持ち、皆で寄り添い続けていきたい」と力を込めた。


「阪神」と「東日本」の経験や体験を「熊本」支援に生かし、未来につなげていこうとする若者を追い、支え合う人たちの姿を紹介していく。
=東日本大震災取材班 渡邉勝利、鈴木陸人

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