eストーカー対策 ネット上の悪質行為に規制必要

  • 2016.06.01
  • 情勢/解説

公明新聞:2016年6月1日(水)付



芸能活動をしていた女子大学生がファンを名乗る男に刺された事件を受け、ストーカー規制法の改正を求める声が高まっている。凶行の再発を防ぐ規制強化が必要だ。

現行のストーカー規制法では、インターネット上の禁止行為がメールの連続送信に限られ、ツイッターなどの交流サイト(SNS)への書き込みは規制の対象外となっている。しかし、今回の事件では容疑者が犯行に及ぶ前にSNS上で「殺す」「死ぬ」などと脅迫めいた記述をしていたことが明らかになっている。

被害者は、こうした文面を持って警察に相談してもいる。仮にSNS上の悪質な書き込みが規制の対象となっていれば、犯行を防げた可能性があったであろう。

2000年に制定されたストーカー規制法は、13年の改正で嫌がる相手に繰り返しメールを送信する行為を規制対象に追加した。その後、ツイッターやフェイスブック、LINE(ライン)などネット上の通信手段が急速に発達。SNS上でのストーカー行為が新たな問題となっていた。

このため公明党は、SNS上の悪質行為を禁止するストーカー規制法改正案をまとめている。今回の事件を受けて5月27日には、井上義久幹事長が改めて法改正の必要性を訴えた。できる限り早期の法改正に向け、与野党の協力を期待したい。

事件をめぐっては、警察の対応も検証が必要だ。

以前から容疑者の言動を警戒していた女子大学生は、ストーカー被害の通報時に警察が迅速に対応するためのシステムに名前や住所、懸念事項が登録されていた。事件当日も犯行直前に通報していたが、警視庁の担当者は携帯電話の位置情報を確認せず、当初、警察官を事件現場ではなく被害者の自宅に向かわせていた。

このシステムは今後、担当者の端末に自動で通報者の位置情報が表示されるよう改善される方針という。

警察が把握するストーカー被害は、13年以降2万件を超え、昨年は逮捕・書類送検にまで至った事件が2415件に上る。ストーカー行為は対応を誤れば今回のような悲劇を招く。女子大学生刺傷事件の警告は重大だ。

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