e被災地で病院、患者をサポート

  • 2016.05.24
  • 情勢/解説

公明新聞:2016年5月24日(火)付



"熊本"での活動もとに研修会
DPAT 災害派遣精神医療チーム
大阪府



熊本地震の被災地に派遣されていた大阪府の災害派遣精神医療チーム(DPAT)がこのほど、今後、同チームに参加する可能性の高い府内各地の保健所職員、医師、看護師、保健師、心理士らを対象に、大阪市住吉区にある府「こころの健康総合センター」内で「大阪府DPAT熊本地震被災地支援研修」を開催した。これには、大阪府のDPAT創設を推進してきた公明党の藤村昌隆府議が参加。終了後には、石川ひろたか参院議員(参院選予定候補=大阪選挙区)も合流し、関係者と意見交換を行った。

帰阪したチームが講義

保健職員、医師、看護師ら対象に

DPATは、東日本大震災時に全国から急ごしらえで派遣された「こころのケアチーム」が直面したさまざまな課題を教訓に、都道府県や政令市ごとに創設が進められている組織で、普段から準備を重ね、災害時に被災者の心のケアに当たる専門チームだ。具体的には、(1)災害でダメージを受けた現地の精神医療機関のサポート(2)被災住民のストレスや精神的症状への対応(3)地元被災地域の支援者(医療従事者、救急隊員、行政職員、保健職員等)への支援――などを行う。

府のDPATにとっては、4月に起きた熊本地震が初めての出動に。今回、大阪府から熊本に派遣されたチームは、精神科医師、看護師、業務調整員(ロジスティックス=連絡調整や車の運転など後方支援全般を担当)の3人体制で構成。発災翌々日の16日に大阪を発った先発隊、発災後6日目に現地に入った第2班がそれぞれ活動を展開した。

研修では、第2班に参加した府こころの健康総合センターの精神保健指定医の本屋敷美奈さん、同センター地域支援課の岡信浩主査らが講義。被災した熊本県内の精神医療機関の患者を、宮崎県内の複数の病院へ転院させた活動について、詳細にわたって報告した。本屋敷医師は、活動の中で気付いたこととして、(1)指揮命令系統の乱れに対しては積極的に関わることが必要(2)伝言ゆえの情報の間違いに注意(3)緊急事態を除いて現場の意向を尊重することが大切(4)アクションの前に必要な備品を確認すること――などを指摘。業務調整員として参加した岡主査は、「情報を共有する時系列活動記録が大切」「個人情報は持ち帰らず、しっかりと引き継ぐことが重要」などと述べた。

石川氏が関係者と懇談

公明府議が創設を推進

終了後の意見交換で石川氏は、現地での活動を通じての課題を尋ねた。関係者からは、「病院の被災状況を見極め、どれくらいの規模の精神医療チームが必要かなどを迅速に判断して、全国に派遣を要請していく体制が構築できないか」「DPATの本格的な研修ができる拠点が東京にしかないので、訓練に参加できるメンバーが限られている。何とか北海道や近畿など方面ごとに研修できるようにしてもらいたい」などの声が上がった。

これに対し、石川氏らは「今回のDPATの経験を府でも国でもしっかりと生かしていきたい。厚生労働省と、どういう対応ができるかについて具体的に調整していく」と応じた。

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