e旧鳥居記念博物館 まちの名所を防災・交流拠点に

  • 2016.05.17
  • 情勢/社会

公明新聞:2016年5月17日(火)付



耐震改修し、食料など備蓄
徳島・鳴門市



徳島県鳴門市でこのほど、人類学者・鳥居龍蔵(1870~1953年)の功績をたたえた旧県立鳥居記念博物館が交流・防災拠点「トリーデなると」として生まれ変わった。建物を耐震改修し、避難場所として活用するため、災害備蓄品を整備したほか、通常時は展望台や展示ギャラリーとして定期的に開放している。

展望台や展示ギャラリーも整備

公明旧施設の活用を推進

鳥居龍蔵は徳島県出身の人類学者で、国内をはじめアジアや南米などで調査活動を行った地元ゆかりの人物。県は同氏の功績をたたえるために1965年、鳴門市内に天守閣を模した外観の「鳥居記念博物館」を開館。長年、地域の名所として親しまれてきた。しかし、施設の老朽化に伴って10年に、徳島市内に新しく博物館が建設され移転し、旧施設は12年に県から鳴門市に移管されていた。

沿岸部に位置する同市は、旧施設のある妙見山(標高61.4メートル)の周辺に津波避難場所が少ないことから、この旧施設を住民が安心して避難できる場所にしようと、14年に建物の耐震改修工事に着手。工事開始後も活用策について市議会で議論された結果、防災と交流の機能を兼ね備えた拠点施設を整備することになった。

旧施設の活用については、公明党が市議会で積極的に推進。松浦富子市議が12年2月定例会で、「津波発生時に多くの住民が避難することが予想される」と津波避難場所の必要性を訴えたほか、14年9月定例会では浜盛幸市議が、地域イベントなどにも活用できるよう要望していた。

「トリーデなると」は4階建てで、避難場所として利用できるほか、災害備蓄倉庫には100人分の食料や毛布、発電機などが備えられている。また、一定の強い揺れで鍵の入ったボックスが自動的に開く「防災ボックス」を建物の外側に設置しており、緊急時に誰でも開錠が可能となっている。さらに施設内には、市民や市内の団体が無料で利用できる多目的室や展示ギャラリーも整備され、市内を一望できる4階の展望台は、土、日、祝日に自由に出入りすることができる。

市戦略企画課の三居康伸課長は「町を一望することによって沿岸との距離感が分かるので、防災意識の向上につながってほしい」と語る。展望台を訪れていた住民の石川洋子さんは「とても良い眺めだし、食料品なども備蓄された場所が地域にできて安心です」と話していた。

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