e熊本地震 復旧に全力

  • 2016.05.16
  • 情勢/社会
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公明新聞:2016年5月15日(日)付



補正予算案を提出
住宅確保、生活再建などに対応
被災地のニーズに沿った事業へ



熊本地震から1カ月が経過した。広範囲にわたる大規模災害の対応を被災自治体だけで行うことは難しい。このため政府は「激甚災害」をはじめ三つの災害指定や、普通交付税の繰り上げ交付の実施など、復旧・復興に取り組む態勢を強化している。公明党は発災直後に党対策本部を立ち上げ、被災地のニーズ(要望)を政府や被災自治体につなげてきた。13日には、復興を加速させるための今年度補正予算案が国会に提出され、審議がスタートした。補正予算案や三つの災害指定の内容を紹介する。

熊本地震からの復旧や復興を進めるため、政府が国会に提出した補正予算案の総額は7780億円。

具体的には、仮設住宅の建設や、民間賃貸住宅の賃料を行政が負担する「みなし仮設」の確保費用(573億円)を計上。住宅が壊れた被災者に最大300万円を支給する生活再建支援金(201億円)や災害弔慰金(6億円)の費用も盛り込まれた。

また、がれき処理や、道路や橋などのインフラ復旧、被災中小企業の事業再建を支援する際、必要に応じて使える「熊本地震復旧等予備費」が7000億円計上された。被災地のニーズに沿った事業が可能になる。

政府提出を受けて国会では13日、同予算案が審議入りし、公明党から衆院で石田祝稔政務調査会長、参院で山本香苗参院政策審議会長が質問し、早期成立と円滑な執行を求めた。 石田氏は「みなし仮設」の規模や仮設住宅の建設計画の見通しを早急に示す必要性を強調。「被災者の実情にマッチングさせながら、住まいと生活の安心感につなげることが重要だ」と訴えた。山本さんは、長期化する避難所の環境を取り上げ、女性用の休養スペースや物干しがない実態を指摘。「一刻も早く抜本的に改善しなければならない」と力説した。

補正予算案編成に当たっては、公明党対策本部が、被災地の声を基にした「緊急要請」を安倍晋三首相宛てに提出(4月28日)。機動的で柔軟な支援を行うための「予備費」創設など、65項目の具体策を提案していた。

三つの災害指定

激甚災害

道路、河川、学校などの復旧―
補助率引上げで自治体負担を軽減

激甚災害への指定によって、道路や河川、公立学校、農地などの復旧事業に対する国庫補助率が引き上げられ、被災した自治体の財政負担が軽減される。

このほか、被災した中小企業が事業再建のために資金を借りる場合、償還期間の延長なども行われる。

過去の災害では、指定まで日数を要したケースもあったが、今回は、4月16日の本震発生から9日後の25日に指定された(施行は26日)。

27日付の読売新聞「社説」では、「政府がスピード感を持って政策対応した」と評価している。

特定非常災害

運転免許証など行政手続きの期限を延長

災害で必要な行政手続きができない被災者の権利や利益を守ることが目的で、4月28日に指定、5月2日に施行された。指定は、阪神・淡路大震災、新潟県中越地震、東日本大震災に続き4例目。

具体的には、運転免許証の有効期限や飲食店の営業許可期限などが、地震発生日に遡って自動的に延長される。すでに政府は、211の対象項目(11日現在)を発表している。このほか、被災したことで債務超過に陥った企業に対する、裁判所の破産手続きの開始決定も猶予される。

非常災害大規模災害法を初適用

復旧事業を国が肩代わり

大規模災害復興法に基づいて5月10日、「非常災害」に指定(13日施行)された。被災した自治体の要請があれば、自治体が管理する道路や橋、河川などの復旧事業を国が代行する。同法は、東日本大震災の教訓を踏まえて制定された法律だが、今回が初の適用となる。

国が事業を肩代わりすれば、自治体は被災者支援に集中できる上、人手や機材の不足で万全に対応できなかったり、技術的に高度な事業を国が担うことで、復興の加速化も期待される。

具体的には、南阿蘇村と西原村を結ぶ県道の俵山トンネルや、南阿蘇村の阿蘇長陽大橋、熊本市の海岸堤防などが事業代行の対象になる見通し。

政府の対応

「評価」64.5%
共同世論調査

政府の対応には、国民から高い評価が寄せられている。4月29、30日実施の共同通信の世論調査では、「評価する」が64.5%に上った。
また、蒲島郁夫・熊本県知事は政府の対応に関して「国の食料支援は非常に成功したと思う」(5月13日付「毎日」)と指摘している。

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