e広がる スクールカウンセラー

  • 2016.04.05
  • 情勢/社会
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公明新聞:2016年4月5日(火)付



全公立中学校に配置へ



子どもたちが抱える問題の相談に乗って「心のケア」に取り組むスクールカウンセラー。政府は今年度中に全ての公立中学校に配置する方針だ。また、スクールカウンセラーへの需要が高いことから、待遇改善が進むことも期待されている。


「心のケア」に高い需要

3月29日に成立した政府の今年度予算では、学校で子どもたちの相談に乗るスクールカウンセラーを公立小中学校2万5000校に配置するための予算が計上されている。政府は、今年度中に全ての公立中学校にスクールカウンセラーを配置する方針だ。

スクールカウンセラーを配置する学校は、1995年度の制度創設以来、おおむね右肩上がりで増えてきた。カウンセラーは当初、心の病や問題行動を繰り返す子どもをケアするという役割が期待されていたが、制度の定着とともに多くの子どもが利用するようになり、近年では、校内の人間関係といった身近な悩みの相談も増えている。また、教員や保護者の相談を行うことも多い。

さらに、大きな災害や事件が発生し、子どもたちの心のケアが必要とされる学校には、集中的にカウンセラーが派遣されることもある。

いまや教育関係者の間では、スクールカウンセラーは学校になくてはならない存在と評価されるまでになっている。


「必要な職員」として待遇改善も


8割以上が臨床心理士


近年、学校現場では、いじめや不登校、保護者の貧困問題など課題が複雑化している。また、日本の教員は多忙を極めているため、教員の負担を軽減しようと、外部の地域人材の協力を得て教育現場を支援する取り組みが進んでいる。

文部科学省も1月に公表した「次世代の学校・地域創生プラン」の中で、スクールカウンセラーなど学外の人材を活用して教職員を支援する「チーム学校」を進めていく方針を明記した。このため、スクールカウンセラーに対する需要は、今後も増えていく見通しだ。

スクールカウンセラーの募集は、臨床心理士や精神科医、教員OBなどを対象に行われているが、現状では8割以上を臨床心理士が担っているという。ただし、スクールカウンセラーの多くは非常勤で勤務形態が不安定な上、十分な人数が確保されていないことから、1人のスクールカウンセラーが複数の学校を掛け持ちしているのが現状だ。

このため政府は今後、「チーム学校」の取り組みの一環として、スクールカウンセラーや部活動指導員らを法令上「必要な職員」と位置付け、待遇の改善を検討する考えだ。現在は週1回程度の相談業務を行っているスクールカウンセラーの常勤化も進むと見られる。

さらに、昨年9月には、新たな国家資格「公認心理師」を創設する法律が成立している。相談者の心のケアなどを行う心理職の国家資格は初めてとなり、試験は2018年にも始まる見通しだ。臨床心理士の活動の場は幅広い分野にわたるが教育分野での需要が高く、新制度の創設を追い風に多くの心理職が学校のサポートに取り組むとみられる。

また、心理職が法的な専門職として認められることで、社会的評価の確立や待遇改善が進み、専門的な知識や技術を持った質の高い人材の確保につながると期待されている。

公明、専門家の育成と活用を一貫して推進

公明党は、1993年からスクールカウンセラーの重要性を訴え、制度の創設と拡充を一貫して推進してきた。

また、公明党は、心理職の関係団体からの要望を受け止め、公認心理師制度の実現に尽力。自民党などと共に法案を衆院に提出し、「心のケア」の専門家の育成と活用に取り組んできた。

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