e学校の耐震化 天井など非構造部材の対策も

  • 2016.03.31
  • 情勢/社会

公明新聞:2016年3月31日(木)付



学校は子どもたちが一日の大半を過ごす学びの場であると同時に、災害時には近隣住民の避難場所となるなど、地域の防災拠点としての役割も果たす。公明党の強力な後押しで、公立小中学校の建物本体の耐震化率は、ほぼ100%に到達しようとしている。

一方で、天井や窓ガラス、照明器具といった「非構造部材」の耐震対策は遅れている。文部科学省によると、公立小中学校における非構造部材の耐震対策実施率は64.5%(昨年4月1日現在)にとどまる。このため公明党は対策を早急に進めるよう、政府に強く求めている。

非構造部材の耐震対策を進めるには、施設の工法などに関する専門的な知見が不可欠だが、点検や対策は、そうした専門知識を持たない学校任せになっているのが遅れの背景にある。

こうした状況を踏まえ、文部科学省は今月、「学校施設の非構造部材の耐震対策先導的開発事業」を開始した。

同省が自治体や教育委員会に、建築士などの専門家を紹介し、非構造部材の耐震対策を実施する体制構築を促すという。

これまで目視による確認しか行われず、地震の際に崩落する危険性が見落とされているような非構造部材を徹底的に点検できるようになることが期待できる。

また、つり金具などで天井板をぶら下げている、つり天井の体育館も多い。つり天井は落下の恐れがあるが、工法が特殊で対策が難しい。専門家を加えた点検で技術的な注意点を整理し、耐震対策を進めてもらいたい。

文部科学省によると、東日本大震災の際、岩手、宮城、福島、東京、長野、静岡など16都道県の公立の小中高校や大学で、天井が落下したのは1636校、照明器具も410校で落ち、外壁材の剥落も968校であった。こうした学校の多くが避難場所として利用できなくなった。

天井の石こうボードや照明器具のカバーが頭上に落ち、子どもがけがをしたり、落下した非構造部材が避難経路をふさぎ、逃げられなくなったケースもあったという。

学校の安全性を確保するには、非構造部材の耐震対策を急がなければならない。

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