eコラム「北斗七星」

  • 2016.03.14
  • 情勢/社会

公明新聞:2016年3月12日(土)付



あすから大相撲三月場所。待望の日本人横綱誕生へ挑む琴奨菊に注目が集まる。先場所の千秋楽、優勝した琴奨菊に負けず劣らず歓声を浴びた力士がいた。幕下優勝決定戦に進出した宇良だ◆この力士、アクロバティックな相撲で異例の知名度を誇る。身長172センチ、体重113キロと小兵。この体で真っ向勝負を挑み、多彩な技で相手を圧倒する。相撲は「心技体」といわれるが、「心」と「技」が「体」を凌駕するところに人は魅せられるのだろうか◆昨日で発災から5年の節目を迎えた東日本大震災。いまだに多くの人々が仮設住宅での生活を余儀なくされているが、被災者に寄り添い続け、風化、風評被害と闘う「心」と、一つ一つの課題を解決していく「技」、そして被災者の生き抜く力(「体」)の持続。これがそろうことで「人間の復興」に近づいていけるのだろう◆筆者も3.11を前に、あらためて被災者の生の声に耳を傾けた。四畳半二間で5年間の仮設住宅暮らし。ストレスはたまる一方。故郷に帰るめどが立たない現実へのやるせなさ。「まちのコミュニティーが再生しないと帰れない」の一言を幾度繰り返してきたことか◆「心技体」を記者の土俵で言うならば、読者と響き合う報道を続けることか。一連の震災報道は、我らの「心技体」の結晶でありたい。(慧)

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