e認知行動療法 受けやすく

  • 2016.02.22
  • 情勢/社会
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公明新聞:2016年2月22日(月)付



看護師も面接を担当
党うつ対策ワーキングチームが提案



自殺の主な原因の一つとされる、うつ病などの患者に対し、医師による面接を通じて心の負担を軽くする「認知行動療法」について、厚生労働省は2016年度から、医師と看護師が共同で面接を行う場合にも保険を適用する。医師の負担を減らし、患者の受診機会を増やすことが狙い。


16年度診療報酬改定 不安障害 対象に追加


同療法は海外で広く導入され、抗うつ薬など薬物の減量による医療費削減効果もあるとされている。日本では公明党の推進で10年度から、医師が1回30分超の治療を16回まで行う場合に、保険が適用されている。

一方、うつ病など心の病は近年急増し、患者数は100万人を突破しつつある。現在、601の医療機関が同療法の実施を届け出ているが、治療を受けたいという患者の希望に対し、診療体制が不十分なのが実情だ。このため16年度の診療報酬改定では、一定の知識・経験を持つ看護師が面接の一部を担う形式が、新たに保険の対象となった。

新たな形式では、初回は医師が面接し、同席した看護師に今後の方向性などを指示。次回からは看護師が30分超の面接を行った後に、医師が5分超の面接を行う。最終回は医師が面接する。看護師は、同療法を行う外来に2年以上勤務して120回以上の面接に同席した経験があり、適切な研修を修了しているなどの要件を満たす必要がある。

なお、今回の診療報酬改定では、不安な気持ちから同じ行為を繰り返す強迫性障害などの「不安障害」が、同療法の対象疾患に追加された。

公明党うつ対策ワーキングチーム(WT、座長=古屋範子副代表)は昨年8月、山本香苗厚労副大臣(当時、公明党)に対し、同療法における看護師の活用などを要望していた。

同WTは18日、参院議員会館で会合を開き、厚労省から診療報酬改定の内容を聴取。これには山口那津男代表、古屋副代表、浜田昌良WT事務局長(参院議員)のほか、竹内譲厚労副大臣(公明党)が出席。昨年の要望に同席した一般社団法人・認知行動療法研修開発センターの大野裕理事長も参加した。席上、山口代表は「今後も社会のニーズに的確に対応し、この治療法を必要とする人などに希望を与えられるよう頑張りたい」と強調した。


チーム医療 推進に感謝


認知行動療法 研修開発センター
大野 裕 理事長


精神科医は多忙で、面接の時間を取りにくい現状がある。このため、医師を補佐する形で他の職種が認知行動療法を行うチーム医療の意義は大きい。公明党の主張を受けて、職種と対象疾患を拡大し、医療の質が下がらないように看護師の質を担保する要件を加えた今回の改定が実現したことに感謝している。

今後は、新たな形式が定着するための仕組みづくりや、保険対象を心理職などの職種にまで広げる取り組みが必要になる。また、心の健康のために、教育や司法の分野でも認知行動療法を活用できるような施策をぜひ推進してほしい。

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