e党関西復興フォーラム 河田惠昭・関西大学教授の講演(要旨)

  • 2016.01.18
  • 情勢/社会

公明新聞:2016年1月18日(月)付



国難災害へ危機意識共有を
公明に事前準備の推進期待
「防災省」の設置を提唱


公明党関西青年会議が16日に神戸市で開催した「関西復興フォーラム」で、関西大学社会安全学部の河田惠昭教授が「震災から学ぶ、これからの防災」と題し基調講演を行った。要旨を紹介する。

阪神・淡路大震災から21年。この間、人的被害が出た地震は140回を超え、各地で豪雨災害なども頻発し、人々を苦しめてきた。

一般的に災害は自然現象と捉えられがちだが、無人の山奥で雪崩が起きても災害とは言わない。人間社会に打撃があって初めて災害とする以上、防災・減災は極めて政治的な問題だ。

地球温暖化の影響で災害は新しいステージに入っている。昨年の鬼怒川水害では下流から増水した。雨は通常、上流で降り、ダムで水量を制御する。つまり治水計画通りにいかなかったということだ。台風や地震の起き方も変化している。"従来の対応でいい"という思い込みは通用しない。

わが国では歴史上、大災害が群発した時期が3度ある。災害には歴史性という特徴があり、4度目も必ず起こる。グローバル化し政治・経済が集中する東京に大災害が起きれば、日本は確実に立ちゆかなくなる。この「国難災害」への危機意識は薄く、楽天的に東京一極集中が進んでいる。

次の国難災害の被害総額は東日本大震災の10倍に上ると推定される。都市は人や物、情報などの要素で支えられており、建物が壊滅する物理的な被害に加え、巨額の金融取引が停止するなどの被害も起き得る。復興には膨大な財源が必要で国債のデフォルト(債務不履行)も招きかねない。

そこで災害に備え、事前・事後の全災害過程が対象の「防災省」の設置を提案したい。また防災・減災に加え、災害からの回復力を高める縮災(レジリエンス)という考え方が重要だ。積極的に事前準備すれば復興は早い。米国ではハリケーンへの備えが生き、地下鉄は1週間で仮復旧。ニューヨーク証券取引所も事前に取引停止の了承を取り付け、混乱を回避している。

この米国の例を報告したところ、太田昭宏前国土交通相(公明党)が一級河川109水系で、事前準備の考え方を導入してくれた。災害対策は日常だ。住民と政治の距離を縮めることが災害対策を強くする。日常から地域に根差し、足腰が強い公明党に期待したい。

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