e新たな観光立国に挑戦

  • 2016.01.18
  • 情勢/国際

公明新聞:2016年1月17日(日)付



訪日外国人客のニーズを掴もう
国主導で"50兆円産業"に成長へ


てい談

小西美術工藝社社長 デービッド・アトキンソン氏

1965年イギリス生まれ。京都国際観光大使。92年にゴールドマン・サックス証券に入社し、アナリストとして活躍。2009年に小西美術工藝社に入社。同社取締役、代表取締役会長を経て、11年から現職。著書に「新・観光立国論」(東洋経済新報社)。

公明党観光立国推進本部長(衆院議員) 赤羽 一嘉氏

公明党国際局次長(衆院議員)岡本 三成氏

日本を訪れる外国人の数がかつてない伸びを見せる中、産業としての観光が見直されています。元金融アナリストとして、新たな「観光立国」に向けた提言を発信する小西美術工藝社社長のデービッド・アトキンソン氏と、公明党の赤羽一嘉・観光立国推進本部長、岡本三成・国際局次長(ともに衆院議員)に語り合ってもらいました。

赤羽 昨年、訪日外国人数が1900万人台に達し、目標の"2000万人達成"が視野に入りました。

アトキンソン 私は、政府が本来目標とすべき、訪日外国人数はもっと多くてよいと思います。2020年までに2000万人ではなく、5600万人が適切です。

岡本 夢のような数字です。

アトキンソン 十分に実現可能です。欧米などの先進国には、日本に一回も訪れていない人たちが多くいます。世界の観光客数は11億3300万人に達し、欧州の観光客は5億7500万人です。それなのに欧州からの訪日観光客はたった106万人、全体の0.2%です。

赤羽 潜在需要はまだまだあるということですね。

アトキンソン 中国への観光客数は5569万人、スペインは6066万人ですから、世界的に見れば、全く驚く数字ではありません。日本はアジアの中心的な先進国で、アジアの観光市場における競争力はとても大きい。

日本の"魅力"磨き、短期滞在型を改善

岡本 海外の方から見た、日本の魅力は?

アトキンソン 日本の地方には手付かずの自然が豊かに残り、歌舞伎や三味線など伝統的文化も豊かです。さらに和食が世界無形文化遺産に登録されるなど、観光資源を挙げたらきりがありません。つまり、「観光大国」になり得る国だと確信しています。日本が持つ魅力を磨き、世界に発信すれば、訪日外国人観光客はもっと増えるはずです。

赤羽 魅力を磨くというのは具体的にどういうことですか?

アトキンソン 観光客のニーズを踏まえ、十分に楽しんでもらえる工夫をするということです。例えば、ハイキングや自然観賞をしたいのに、動植物が豊かな国有林が開放されておらず、立ち入り制限されている場所があります。また、文化財保護に重点が置かれているため、観光客が文化や歴史を学ぶ場合も、現地には入れないようなこともあります。外国人が気楽に訪れて、日本の伝統芸能や歴史を学べる施設も不十分です。

岡本 米国には、博物館も多く、小・中学生が頻繁に博物館を訪れ、そこで先生や学芸員からいろいろと教えてもらっています。日本でもこうした施設を充実させ、観光客も楽しむことができるように整備すれば、一石二鳥かもしれません。

アトキンソン 日本が観光資源の魅力を十分に発揮できない背景には、これまでの日本の観光産業が、「1泊2日」の観光を基準にしていることに問題があります。盆や正月、ゴールデンウイークに象徴されるように、日本人が旅行を楽しむ期間は年間でも限られていて、短い。国内旅行者はこの短期間に集中するため、受け入れ側の観光地やホテル・旅館などは、「多くの観光客をいかに効率よくさばくのか」という考えに偏りがちです。また、日本人観光客側も短期滞在の中でいろいろなことをコンパクトに済ませようとする。京都観光で言えば、「金閣寺で15分、銀閣寺も15分」で満足しようとしてしまう。

赤羽 何日も滞在し、じっくり観光を楽しむようになっていないわけですね。

アトキンソン 外国人観光客は、欧州からであれば飛行機で約12時間もかけて来日し、このための交通費だけに何十万円も掛ける。せっかくお金を使って来たのだから、日本人に比べ長い日数を観光地で過ごすのが普通です。ですから、「金閣寺で15分」みたいな観光内容で終わってしまうと、「また来よう」とは思わないでしょう。時間と費用を掛けてきたのですから、その土地の魅力を存分に楽しみ、再び来たいと思ってもらえるような余韻を残す、そういった魅力を開発しなければならないのです。

岡本 リピーターを集められるような魅力を観光地開発で引き出すことが重要なのですね。

地方にネットワーク持つ公明に期待

赤羽 公明党は経済再生と地方創生をめざす中で、観光を重要な成長産業の一つと捉え、観光立国推進本部を立ち上げました。観光立国を実現するために、政治がやるべきことは?

アトキンソン 観光立国をめざすには、あらゆる省庁の協力が必要です。従って、国として方向性を明確に示すことが重要です。観光産業は裾野が広く、成長すればGDPの約10%に当たる50兆円規模になるはずです。

岡本 政府はこれまで「観光は民間がやるもの」と思ってきました。国が本気で取り組むマクロな目標があり、具体的な戦略を立て、観光産業を確実に成長させれば、雇用を創出し、所得が増え、国民生活を豊かにできると思います。

アトキンソン 重要なのは適切な目標の設定です。例えば、国別で観光客数の目標設定が大事です。同時に、日本のブランドイメージづくりも必要です。日本が海外に発信している内容は「おもてなし」や「着物」「桜」などですが、これは必ずしも外国人観光客の求めているものではありません。「日本に来たら、あなたはこういう楽しいことができる」と具体的な内容をアピールすべきで、これは国の仕事であると思います。

赤羽 公明党は、現場からの目線を大事にしています。観光産業も全く同じで、外国人観光客に楽しんでもらい、さらに日本への理解を深めてもらうことが大切です。

アトキンソン 私は昨年、全国各地で観光振興に関する講演を行いましたが、地方は「地域経済の活性化は観光振興しかない」という思いで必死になっています。政府の方が遅れていると感じています。

岡本 公明党は全国に議員が約3000人。地域の課題に、毎日、全力で奔走しています。

アトキンソン 公明党の役割は重要です。日本の真の観光立国の推進に不可欠な、現場目線、国と地方のネットワークを持つ公明党に大いに期待しています。

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