e今年度補正予算案 ポイント解説

  • 2016.01.18
  • 情勢/経済
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公明新聞:2016年1月17日(日)付



子育て、防災・復興、介護、TPP対策


2015年度補正予算案(一般会計総額は3兆5030億円)が14日に衆院を通過し、現在、参院で審議されている。補正予算案には、公明党の主張が随所に反映され、「1億総活躍社会」をめざした子育て、介護の充実策のほか、環太平洋連携協定(TPP)対策として「力強い経済」の実現に向けた施策などが盛り込まれている。補正予算案の主なポイントを解説する。

子育て

不妊治療の助成制度拡充保育の受け皿拡大めざす

補正予算案は、妊娠から子育てまでを切れ目なく支援する施策を強化する。

具体的には、不妊治療の助成制度を拡充する。現行制度は原則、不妊治療の助成を、1回15万円を上限に通算6回まで受けられるが、これを初回治療の助成に限って上限額を2倍の30万円まで拡大。併せて、男性も不妊治療を受けた場合、15万円を上限に助成する仕組みとする。

子育て支援では、保育の受け皿(2017年度末まで)を40万人分から50万人分に拡大することをめざし、認可保育所などの整備を加速。小規模保育事業所の整備費用を補助する仕組みも創設する。

子育てをするにも経済的に困難を抱える、ひとり親家庭の支援としては、自治体の相談窓口をワンストップ化。さらに、就職に有利な資格の取得をめざす親を対象に、入学準備金や就職準備金を貸し付ける制度を導入した上で、一定の条件を満たした場合に返還を免除する仕組みを設ける。

防災・復興

豪雨災害に備え堤防を強化震災からの復興も加速化へ

近年頻発する、さまざまな自然災害に備えた防災・減災対策を充実させる。

昨年9月の関東・東北豪雨災害を踏まえ、堤防の補強など河川の緊急防災事業を実施。空港施設の冠水対策や、災害時でも交通アクセスを確保するための代替路の整備も推進する。

自治体による水害、土砂対策などが進むよう、防災・安全交付金として997億円を計上する。

噴火を含めた火山活動の観測体制も強化。停電時でも地殻変動観測を継続できるよう、火山周辺の観測装置に太陽光発電設備を整備する。

一方、東日本大震災の復興加速化には8215億円を充て、廃炉・汚染水対策事業などを前進させる。

東京電力福島第1原発事故からの事業再開を手助けするため、福島の12市町村の商工事業者を訪問して支援する「福島相双復興官民合同チーム」の相談体制などを強化する。

介護

「離職ゼロ」へ施設整備を促す。人材の確保策も前進

介護を理由に仕事を辞める人は毎年10万人前後に上り、個人の活躍の機会が失われるとともに、社会的な損失も大きい。そこで、補正予算案では「介護離職ゼロ」に向けた取り組みを推進する。

具体的には、介護の受け皿となる高齢者施設の整備目標を、従来の計画(2020年代初頭までに約38万人分)よりも12万人分多い50万人分とし、特別養護老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅の整備を加速させる。

高齢者施設で働く介護人材の確保も急務であり、対策を講じる。

離職した介護職員の再就職へ準備金(20万円程度)を貸し付ける制度を新設。介護職員として一定期間働いた場合には返済が免除される仕組みにする。同時に、国家資格である介護福祉士をめざす学生への修学資金の貸し付け事業も拡充して、人材を幅広く募るようにする。

TPP対策

中小企業の海外進出や「攻めの農業」を後押し

TPPの大筋合意を受け、補正予算案には、力強い経済や攻めの農業の実現に向けた支援策が盛り込まれている。

中小企業が海外でさらに稼げるよう後押しする「海外展開戦略等支援事業」もその一つだ。海外への進出を試みたい企業であっても、ノウハウなどが不足しているケースが多い。そこで、同事業では、国や自治体、日本貿易振興機構(ジェトロ)が連携し、経験豊富な商社のOBら専門家を中小企業4000社に派遣し、現地での取引先の開拓を促す。

このほか中小企業の生産性を高めるため、省エネ効果が高い設備への更新を促す事業も実施する。

一方、農業分野では、「産地パワーアップ事業」の基金を創設。営農戦略を策定した地域を対象に、地域の事情に応じた高性能な機械・施設の導入を促進し、高収益が得られる作物へ栽培を転換することを支援する。

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