e長沢氏の参院代表質問(要旨)

  • 2016.01.08
  • 政治/国会

公明新聞:2016年1月8日(金)付



軽減税率 国民の願いに応える
レジ・システム改修支援を



昨日、北朝鮮が「水爆実験」を行ったことを発表した。国際社会に対する重大な挑戦であり、断固非難する。政府は昨日来、国家安全保障会議開催、国連安全保障理事会の緊急開催要請など迅速な対応を進めているが、国民に対して適切な情報提供を図りつつ、引き続き毅然たる姿勢で臨むよう強く求める。

日韓首脳会談を踏まえ、昨年末の日韓外相会談および首脳電話会談を通じて、従軍慰安婦問題が最終的かつ不可逆的に解決することで合意したことは、関係改善への大きな一歩となった。今後は、両国がこの合意に基づいて、不退転の決意で実現していくことが重要である。


【軽減税率】


消費税の軽減税率制度については、自民・公明両党において、真摯に議論を重ね、2017年4月から、酒類および外食を除く食料品全般を対象とした軽減税率制度を導入することを決定した。

「社会保障と税の一体改革」を着実に進めるために消費税率の引き上げは避けて通れない一方で、「生活に必要な食料品だけでも税率を軽くしてほしい」という庶民の切実な願いに応えたのが軽減税率の導入だ。制度導入の意義、利点についてどのように考えるか。

円滑な導入に向けては、事業者、特に中小・小規模事業者への支援が欠かせない。相談窓口の設置、レジ・システムや軽減税率に関連する業務システムの改修支援などに、早急に取り組むべきと考える。


【補正予算案と財政健全化】


今般の補正予算案は、「1億総活躍社会の実現」「TPP関連政策大綱の実現」、そして災害復旧、防災・減災事業、復興の加速化等が中心となっている。また、地方創生の本格展開、消費喚起や投資促進、生産性を高めるための施策にも配慮している。全体で3.3兆円規模だが、財源は、税収増や前年度剰余金で賄い、一方で新規国債の発行額を4447億円減額するなど、財政健全化に向けた取り組みとも整合的だ。

この結果、15年度の基礎的財政収支(プライマリーバランス)の赤字半減目標は堅持される見込みとのことだが、今般の補正予算案の意義・目的および、これまでの財政健全化への取り組みについて、財務相の答弁を求める。



中山間地域の農業を守れ 震災5年、生活再建に全力



【1億総活躍社会の実現】


1億総活躍社会の第一の矢、「希望を生み出す強い経済」について、個人消費の喚起・拡大は、経済と社会保障の好循環を強固なものとする上で欠かせない。賃金引き上げの恩恵が及びにくい方への支援として、補正予算案に年金生活者等支援臨時福祉給付金が盛り込まれた。給付金の目的・意義を国民に分かりやすく説明すると同時に、対象の方々にきちんと行き渡るよう実施面においても万全を期してほしい。

昨年4月の政労使会議において、下請け企業である中小企業や小規模事業者に対し、適正価格での取引を促す取り組みについて合意した。大企業は、下請け企業の価格転嫁を含めた取引価格の適正化、中小企業等の生産性向上や技術・製品開発への支援など、合意を踏まえた取り組みを進めていくべきだ。

第二の矢「夢をつむぐ子育て支援」に関して、「希望出生率1.8」を実現するためにも、家庭のニーズをくみ取った、きめ細かな施策の推進が必要だ。

特に、ひとり親家庭等を支援する児童扶養手当については、公明党がかねてから主張してきたとおり、16年度予算案で、第2子、第3子の加算額がそれぞれ倍額にすることが盛り込まれた。ひとり親家庭・多子世帯への支援、子どもの貧困対策について、補正予算案での対応を含め、どのように取り組んでいくのか。

第三の矢「安心につながる社会保障」については、高齢化が本格化する中、地域における介護サービスの整備が欠かせない。サービスを担う人材の確保や、利用者となる、例えば認知症の方やその家族への支援についても、きめ細かな目配りが必要と考える。


【TPP対策】


TPP協定が日本経済全体にとって大きなメリットがあることは間違いなく、これを最大限に活用するために、中小企業や地場産業などの海外展開を積極的に支援すべきだ。

一方で、日本の農業は、TPPのみならず高齢化など厳しい状況に置かれている。なかでも中山間地域は、農業産出額の約4割を生産し、洪水や土壌の流出防止など、重要な役割を果たす一方、規模拡大による生産性向上が難しいなど、より厳しい状況にある。営農を支える地域政策として、直接支払いを着実に実施するとともに、所得向上に向けた産業政策の一層の充実が求められる。


【災害対策、防災・減災】


本年は、東日本大震災の発災から5年を迎え、復興は新段階に入る。新たな「復興・創生期間」においては、地元の声をしっかりと受け止めながら、生活再建、まちづくりが加速するよう、引き続き政府の力強い支援が欠かせない。

昨年9月の関東・東北豪雨では、堤防の決壊や河川の氾濫などで甚大な被害が出た。想定をはるかに超える水害による被害拡大を防ぐには、堤防の高さが足りない箇所のかさ上げやコンクリートブロックによる補強などが必要だ。

ソフト面では、住民がより迅速に災害へ対応できるよう、スマートフォンなどによる洪水予報の自動配信を円滑に行うための支援、最大級の豪雨に備えたハザードマップの見直しなどが重要だ。先般、大規模水害対策の新ビジョンが策定されたが、水害などの災害対策について、どう取り組むのか。

一方で、今後起こり得る巨大地震などに備えた老朽インフラ整備の推進など、防災・減災対策は極めて重要だ。また、陸路での医療活動が困難になるような緊急時に備え、海路からの支援を可能にする災害時多目的船の早期運用に向けた実証訓練や、計画策定を着実に進めていくべきだ。



長沢氏に対する安倍首相らの答弁(要旨)



【安倍晋三首相】


一、(軽減税率について)消費税の逆進性を緩和でき、また、日々の買い物のつど、痛税感の緩和を実感してもらえるものと考えている。中小の小売り事業者等が複数税率に対応するための必要なレジの導入やシステムの改修等について、資金的支援を実施する。

一、(中小企業支援について)中小企業・小規模事業者が賃金を引き上げられるよう、大企業との取引条件の改善や生産性の向上などを促していく。

一、(ひとり親家庭・多子世帯支援について)児童扶養手当では、第2子以降の加算分を倍額にし、幼児教育無償化に向けた段階的な推進、奨学金の充実などの教育費負担の軽減、ひとり親を対象とした就職に有利な資格の取得を促進するための貸し付け事業の創設などに取り組む。

一、(農林水産業の維持・発展について)中山間地域において、付加価値の高い農産物の生産や地域ブランドの確立等に取り組む意欲ある生産者を積極的に支援し、農林水産業を成長産業化させる。


【麻生太郎財務相】


一、(財政健全化について)今回の補正予算において国債発行額を2年連続で減額、基礎的財政収支の赤字半減目標達成も見込み得るものとなっている。2020年度における国、地方の基礎的財政収支の黒字化に向けてしっかりと取り組んでいく。


【石井啓一国土交通相】


一、(水害対策について)社会全体で洪水に備える「水防災意識社会」を再構築するため、スピード感を持ってハード・ソフト対策を推進していく。全ての国管理河川とその沿川の市町村において、おおむね5年間で実施する。

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