e待機児童解消へ進む国有地活用

  • 2015.11.26
  • 情勢/社会

公明新聞:2015年11月26日(木)付



官舎跡地に保育所整備
東京・世田谷区



国を挙げて待機児童の解消をめざす中、国有地を活用した保育所整備が広がっている。国が公務員宿舎の跡地などを優先的に売却したり、借したりするもので、保育所の用地確保に悩む事業者や自治体に好評だ。待機児童数が全国で最も多く、積極的に国有地の活用を推進している東京都世田谷区の事例を追った。


7園(定員800人)が開園


広々とした園庭に、子どもたちの元気な声が響く。東京都世田谷区に今月、開園した「世田谷いちい保育園北ウイング」(相田真智子園長)。東急電鉄・桜新町駅から徒歩10分、住宅地の真ん中という立地に恵まれ、約3300平方メートルの敷地に建てられた認可保育園だ。来年4月には、同じ敷地内に「南ウイング」も開園予定で、定員は両園合わせて258人になる。


現地は、もともと財務省官舎の跡地。同区が国から20年間の定期借地契約で借り受け、同園を運営する社会福祉法人「水の会」(札幌市)に転貸し整備された。「都内での保育園整備は、用地確保や費用面でとても難しい。国有地貸し出しの公募は、またとないチャンスだった」と、相田園長は振り返る。


同園を利用するスタンケヴィッツ知美さんは、「別の保育園へ毎月、緊急保育の申し込みをしていたけど、今回、この保育園にタイミングよく入ることができた。園舎が広く、遊具がたくさんあり、日一日と子どもの成長を感じています」と喜びを語る。


待機児童数が1182人(今年4月1日)で全国最多とされる世田谷区は、国有地の貸し出しを財務省当局に求めるなど積極的な取り組みを進めてきた。その結果、国有地を活用してこれまで7園が開園し、約800人の定員を確保。計画中の5園も含めると、定員約1300人を確保できる見込みだ。同区担当者は「待機児童の解消に大きく貢献している」と、国の姿勢を評価する。


同区は用地確保だけでなく、保育園の運営事業者に対し、整備費や運営費を支援し、20年間にわたり借地料の補助も行う。


さらに、東京都も同様に、2014年度9月補正予算で借地料の補助制度(5年間)を創設して後押ししている。同年7月、都議会公明党が「待機児童解消に向けた緊急要望」で実施を訴えていたものだ。


ただ、世田谷区の保育需要は拡大の一途で、施設整備に追われる状況が続く。同区議会公明党は、国や都の公有地の活用も含め、保育サービスのさらなる拡充を推進していく方針だ。


協議中含め全国101カ所で


国有地を活用した保育所整備は、10年8月、定期借地制度を利用した貸付スキーム(仕組み)の導入後、進められてきた。


特に、13年4月に政府が発表した「待機児童解消加速化プラン」に国有地活用が盛り込まれて以降、取り組みが進んだ。財務省によると、今年3月末現在、契約が全国で57件、契約予定や協議中を合わせると101件に上る。東京だけでなく、地方の都市でも実施されている。


国有地の活用は、都市部であっても一定規模以上の用地を確保できたり、地域のニーズに合わせた保育所整備に対応できたりと利点が多い。同省担当者は、「自治体と情報共有を図り、さらに進めていきたい」としている。


未利用国有地の有効活用については、かねてより公明党が総点検運動などを通して、国会で提案してきたものだ。中でも、竹谷とし子参院議員は、財務大臣政務官の在任中に、国有地を活用した保育所の整備を強力に推進。東京都千代田区にある衆院九段議員宿舎跡地についても、高木美智代、竹内譲両衆院議員や地元区議と連携し、保育所園庭を補完する遊び場などへの活用を実現させた。


公明議員が連携し具体化


竹谷とし子参院議員
東京都内には国有地や、都営住宅の建て替えにより有効活用できる都有地が点在しています。財務大臣政務官を務めた時には、直接、国有地を活用した保育所の関係者の皆さまから話を聞き、また、元気に遊ぶ子どもの姿を見て、国有地が地域に役立てられていることを確信しました。


待機児童の解消は子育て支援の最優先課題です。また、特別養護老人ホームなど高齢者施設に入所希望の人もたくさんいます。


これらの施設をつくるために国有地、都有地を有効活用できるよう、国、都、市区町村が、互いに情報提供しながら、連携を密にしていくことが必要です。


ネットワークの力がある公明党だからこそ、できる取り組みです。今後さらに広げていけるよう全力を挙げます。

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