eパリ同時テロ 国際社会の連帯で防止めざせ

  • 2015.11.17
  • 情勢/解説

公明新聞:2015年11月16日(月)付



またしても、一般市民が無差別テロの犠牲になった。いかなる理由があれ、断じて許されない行為である。


120人以上が犠牲になった今回のパリの同時多発テロでは、過激派組織「イスラム国」が犯行声明を出した。フランスのオランド大統領は、記者会見で「イスラム国」による「戦争行為」とまで明言した。


フランスは、今年9月から、シリアで米国が主導する「イスラム国」に対する空爆に参加している。テロは、それに対する報復ではないかと指摘されている。


これまで「イスラム国」は勢力拡大のために容赦のない実力行使で住民を服従させ支配地域を拡大してきた。今では「国家」であるとまで言い放っている。その上、勢力下にある地域でジャーナリストなどの外国人を捕らえては解放の条件として一方的な要求を突きつけ、それが拒否されると残虐にも殺害を繰り返している。


しかし今回、その「イスラム国」がフランスの首都で大規模なテロを実行した。オランド大統領は即座に「前例のないテロ攻撃がパリで起きている」として非常事態を宣言したほどだ。「イスラム国」は犯行声明の中で「フランスに続く者はみな攻撃対象であり続ける」とも述べている。


今後、先進諸国の中心都市で同様のテロ攻撃を計画しているとも読める。国際社会のテロ対策は、一段と厳しい困難に直面することになったといえよう。


残虐非道な行為を責め、同時にテロ防止のための共闘を訴えるメッセージが世界中からフランスに届いている。安倍晋三首相も、テロを「断固非難する」と述べた上で「日本はテロ未然防止に向けてフランスをはじめ国際社会と緊密に連携し、取り組んでいく」と強調した。


テロの防止は、一国の治安能力を高めるだけでは限界がある。世界が協力して情報収集・分析を進める必要がある。同時に、貧困や人権侵害などテロの温床となる要因を取り除くための開発支援や人道援助の強化も欠かせない。


こうした重層的な対策によってテロを防止するため、国際社会はさらに連帯を強めていくべきだ。

月別アーカイブ

iこのページの先頭へ