e子どもに"本物"の文化芸術

  • 2015.10.26
  • 情勢/社会

公明新聞:2015年10月25日(日)付



「面白い!」 笑顔広がる
好評博す体験事業



子どもに"本物"の文化芸術を体験してもらう「文化芸術による子供の育成事業」。全国の小・中学校などで好評を博しており、公明党も積極的に推進しています。事業の一つ、巡回公演の模様にスポットを当てました。


能・狂言


古典芸能の迫力味わう


茨城県つくば市立吉沼小学校(古宇田正人校長)の体育館。同校では初となった19日の巡回公演は、国の登録有形文化財に指定された矢来能楽堂(東京・神楽坂)を中心に全国各地で公演する「観世九皐会」の能と狂言です。体育館には、本物の能楽堂さながらに舞台が用意されました。


緊張した面持ちの児童たちも、畑の柿を盗み食いした山伏と畑主とのやり取りがコミカルな狂言「柿山伏」で笑い、源義経の西国落ちを物語にした能「船弁慶」を興味津々に鑑賞。古典芸能とあって「難しい」と感じた児童もいましたが、「学校で見ることができて良かった」(小学6年女子)、「狂言って面白い」(同男子)と目を輝かせていました。


その後、柿山伏のワンシーンを児童全員で初体験。柿にかぶりつき、狂言独特の抑揚を付けて「うーまい柿じゃ」とせりふを発すると、笑顔が広がりました。児童の代表が能面を掛ける体験もしました。


古宇田校長は「日本には素晴らしい伝統文化があることを知ってもらい、文化を大事にする心を育んでほしい」と語っていました。


京劇


派手な立ち回りに挑戦


20日、岐阜県関市立田原小学校(藤田佳一校長)の体育館では、中国語の掛け声に合わせ、背筋を伸ばし、片足ずつ蹴り上げ、前に進む児童の姿が。派手な衣装や立ち回りなどが見どころの、中国の伝統芸能・京劇の基礎の動きです。


講師を務める「新潮劇院」は、日本での京劇普及を目的に北京京劇院出身の京劇俳優・張春祥さんが主宰する在日京劇団。11月11日に同校で行われる観劇会では、中国国家京劇院に所属する日本人京劇俳優・石山雄太さんを主演に迎え、「西遊記」の中から孫悟空が天界で大暴れするというシーンを披露する予定です。


この日は、観劇会を前にしたワークショップ。準備運動が終わると、新聞紙をまるめた棒を使って「棒術」に挑戦。京劇俳優が、棒を高速で回転させると「扇風機みたい!」と驚く声が。立ち回りの体験では、児童たちは「斬ったり、ジャンプしたり、楽しい!」など、紅潮した表情で語っていました。


巡回公演と芸術家派遣
年間約4600件12年間で7倍超に


「文化芸術による子供の育成事業」は、小・中学校などで一流の文化芸術団体による巡回公演やワークショップを行うほか、学校に芸術家を派遣して、子どもたちに質の高い文化芸術を鑑賞・体験してもらう事業です。


その柱の一つが巡回公演です。種目は合唱やオーケストラをはじめ、演劇、ミュージカル、歌舞伎、バレエなど多岐にわたり、鑑賞だけでなく、実技指導などのワークショップも実施。体験・参加型なのが特徴です。芸術家の派遣事業も、音楽や文学から伝統芸能、メディア芸術まで多彩な分野で実施されています。


子どもに"本物"の文化芸術に触れてもらう事業は、さまざまな名称を経て今に至りますが、その内容は大幅に拡充されてきました。2014年度の巡回公演数は1797件、派遣実施数は2853件で、合計4650件です。比較が可能な2002年度(614件)からの12年間で約7.6倍に増えました。


その背景には公明党の取り組みがあります。公明党は2001年の文化芸術振興基本法の制定をリードし、文化芸術政策の拡充を進めてきました。昨年の衆院選重点政策でも「子どもの文化芸術体験機会の拡充」を明記し、その実現に全力を挙げています。


公明が関連予算を拡充
公益社団法人日本芸能実演家団体協議会 常務理事 田澤祐一氏


"本物の芸"を間近で味わうことは、子どもたちの豊かな心、人間性を育むことになります。


文化芸能を鑑賞・体験した経験が、人生の幅を広げ、より豊かな人生を歩む一つの糧になるのです。将来、日本の文化芸能を継承する人材の育成にもつながると考えています。


文化庁の予算は国家予算全体の約0.1%です。また、都市部と比べて地方は、文化芸術に関する施設も少なく、体験できる機会には地域差があります。


公明党は、子どもたちに文化芸能に触れてもらおうと、2001年の文化芸術振興基本法の制定に力を注ぎ、関連予算の拡充や機運向上に尽くしてくれています。一層の取り組みを期待しています。

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