e地方への移住・定住 暮らしやすさ優先の総合戦略に

  • 2015.10.23
  • 情勢/社会

公明新聞:2015年10月23日(金)付



今後5年間の地方創生の具体策を示す「地方版総合戦略」を策定する自治体が相次いでいる。


策定された自治体の戦略を見ると、地元出身者のUターンや大都市圏からのIターン者に対する支援をはじめ、企業誘致などを盛り込んだ内容が多い。雇用の創出を含め、効果的な施策の実行を期待したい。


もちろん、地方にとって過疎化や人口減少は長年の課題であり、一朝一夕に解決できない。子育て世帯や若者など、さまざまな人々を呼び込む対策に、じっくりと腰を据えて取り組む必要がある。


例えば、都市部では、地方に比べて住居費や生活費などが高く、収入の少ない母子世帯など、生活に苦しいひとり親家庭は少なくない。


そこに着目した長野県は、ひとり親家庭を対象にした移住支援策を盛り込んだ総合戦略を策定。具体的には、ひとり親家庭向けの移住セミナーを開催し、親への就職相談や、家賃が低額な公営住宅・空き家の紹介、保育所の情報提供なども実施する。ひとり親家庭が県内に移住すれば、生活環境が改善できると同時に、受け入れる自治体側も子育て世代の増加につながる。


新潟県長岡市は、若者の移住・定住に焦点を当てた"長岡若返り戦略"を策定した。戦略には、若者らによる空き家や廃校を利用した集合住宅づくりをはじめ、若者の提案を市政に反映できる「若者会議」の活用などが明記されている。若者が主体的に地元への愛着を持てる政策として注目されている。


地方では、商店やガソリンスタンドなどの閉店により、身近な場所で生活物資が手に入りにくい問題が起きている。買い物支援など、生活の利便性を高める対策も欠かせない。


和歌山県内のある中山間地の自治体では、村営のコンビニエンスストアを開設し、地域の賑わいの拠点としている例もある。自治体は、こうした事例も踏まえながら、総合戦略の策定を検討できないだろうか。


どこに住むにしても、暮らしやすさはだれもが求める条件である。きめ細やかな工夫で戦略を前進させ、地方への人の流れを作り出したい。

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